加藤シゲアキの最新長編小説『なれのはて』が10月25日(水)に刊行される。
同作の舞台となる場所は、東京、秋田、新潟。物語のきっかけになるのは、終戦前夜に起きた日本最後の空襲といわれる、秋田・土崎空襲。これは秋田にルーツのある加藤シゲアキが温め続けてきたテーマだという。やるせない人間の業と向きあいつつ、一方で力強く生き抜こうとする人びとの姿を、一枚の絵のミステリを通じて描いている。
同作の作品世界を表現したポスタービジュアル5種類が公開予定。また同作の刊行を記念して、9月22日(金)発売の『小説現代』10月号では、『なれのはて』が全文公開されるほか、本人のロングインタビューや舞台の地・秋田でのグラビアなど、同作をより楽しめる特集が予定されている。
さらに同作の発表に合わせて、加藤シゲアキ個人のInstagramアカウントが開設された。『なれのはて』の書籍発売までの足跡やその他様々な話題を発信していくという。
【加藤シゲアキのコメント】
前作『オルタネート』の執筆時から考えていた本作が、構想からおよそ3年の歳月を経てついに完成しました。
『なれのはて』は自著のなかで最も壮大なテーマに挑んだエンタメ作品であり、また問題作でもあると考えています。
三十代半ばとなる(なった)私が何を書くべきか、問い続けた結果がこの作品です。
舞台を2019年の東京と、私の母の地元である秋田にしたのは、私自身がこの物語に深く没入するためでしたが、その過程で日本最後の空襲のひとつといわれる土崎空襲を知り、自分がこの小説を書く宿命を感じました。
この小説を書いたのは本当に自分なのか、それとも何か見えざるものによって書かされたのか。今はそういった不思議な気分です。
作家活動が十年を超えた今だからこそ、全身全霊で書き上げることができました。
一枚の絵の謎から広がる世界を、どうぞご堪能いただけると幸いです。