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見上愛の十八番が生んだ、原作とのうれしい「シンクロ」
松居:男女逆転は原作者的に大丈夫でした?
高木:全っっっ然、大丈夫! キャストも「意外な人が選ばれたな」と思って映画を観たら、「もう最高じゃん!」って。意外だったのに必然性を感じたんですよ。お二人を見た瞬間、納得せざるを得ないものを感じました。何より見上さんに関しては、世が世なら一国一城を差し上げたいくらい。
松居:世が世なら!(笑)

高木:マンガを描くにあたって、キャラクターづくりって気が狂うほど大変で。子を一人産むような感覚なんです。そんな「我が子」が育って一人歩きしてくれたらいいんですけど、作者や原作ファンの想像を超える実写化ってなかなかありえない。でも見上さんはその先入観を軽く超えてきたんですよ。彼女がつくった「りの」は、私には絶対につくれない。オリジナリティあふれる「りの」がスクリーンの中を駆け回っていて。そうだなぁ、とにかくマンガを描きたくなった。
松居:わかる! 僕も引っ張られましたもん。原作や台本があるにもかかわらず、見上愛の奮闘にあてられて台本が変わっちゃったし。

─どのシーンですか?
松居:「じゅん」とのデート中、「りの」が駅の階段でギターをかき鳴らしながら、GO!GO!7188の“C7”を歌う場面ですね。もともと台本にはなくて、見上さんの芝居を見てたら入れたくなったんですよ。彼女、学生時代にバンドやっていて。いちばんの十八番が「C7」だったみたい。
高木:あまりのシンクロぶりに鳥肌立ちますよ。松居さんにはお伝えしたんですが、実はマンガの中で軽音部の「りの」が歌っているのは、GO!GO!7188の“神様のヒマ潰し”なんです。楽曲の歌詞を出していないけれど、私はそのつもりで描いていました。
松居:ね。僕はそれを聞いていたから、見上さんが“C7”を提案してきた時にマジで驚いた。高木さんの裏設定、彼女は知るよしもないですから。
高木:歌詞がこの映画にドンピシャで、“C7”こそまさに『不死身ラヴァーズ』を象徴するような楽曲だな、って。見上さんが「りの」である必然性を一段と感じました。