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日常が変わる、文学の効能
文学と出会ったことで、人生や内面が豊かになった実感が自身にもあるからこそ、限られた人だけでなく、文学や言葉の面白さに出会ってほしいという思いを小原さんは持っている。
「たとえばなにか嫌なことがあったときの解決策って、今の世の中では切り捨てることや切り替えることが主流な気がするんですけど、文学はそのどちらでもなく、たゆたっている状態を認めつつ進んでいくようなところがあって。自分も本を読むようになってから、そういう状態を受け止められるようになったと思います。人の悲しみについて、『そんなの別に悲しくないじゃん』とぶった切ったりしない、そういう視点は特に文学からもらったものですね」

さまざまな物事に簡単に白黒をつけず、複雑なまま受け止める。そんな姿勢の変化だけでなく、言葉に意識的になる習慣がつくことで、何気なく街を歩いたときに目に入る景色の感じ方も変わってくるという。
「たとえば街中にある標語とかも面白いですよね。今日も久美堂にいく前に『特殊詐欺ゼロの街町田』というアナウンスが駅前で流れてましたけど、そういうものに街の雰囲気が意外と出ていたりして。ここのメニューに書かれている『ちょっとした、パスタ』とかもすごく気になる(笑)。文学館や図書館に行ったあとって、言葉に対して敏感になっているから、そういうものが一つひとつ、より入ってくるようになるのも、文学散歩の面白さなのかなと思います」

心や時間などに余裕がないとき、面白さの保証がない見知らぬ場所に足を運ぶことは、ハードルを高く感じやすい。けれども小原さんは、もっと漠然とした関心のもと、さまざまな場所をふらりと訪れてみることの効用についてこう話す。
「たとえば街を歩いていて、たまたまそこにあった文学館やギャラリーになんとなく入ってみることって、結構意味がある気がするんです。別に必ずしも熱狂的に何かを好きにならなくてもよくて、そういう行動の中での偶発的な出会いから影響を受けることもあると思います。創作をしている人であれば、それが何かしら発想のヒントになったりもするし、言葉に対して敏感になると、日々の暮らしの中でも見えるものが変わって、生活そのものも自然に変わってくると思います」
小原晩が町田文学散歩をしての感想コメント
朝からすごく充実した1日でした。普段の散歩では近所をぐるぐるしているんですけど、知らない街を歩くことってやっぱりすごくいいですよね。今日最初に行った武相荘に駅から向かう道のりだけでも、景観が変わっていくことが楽しかったです。知らない街ってちょっと心細さもあるけど、本屋さんとか、レコード屋さんとか、美術館とか、それこそ文学館とか、1つでも目的地があると、安心感を持って歩けるような気がします。

町田文学散歩、1日で巡るモデルコース
旧白洲邸 武相荘
↓バス・徒歩で約25分
久美堂・本店
↓徒歩6分
仲見世商店街
↓徒歩6分
町田市民文学館 ことばらんど
↓徒歩3分
中珈琲
