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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

『SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット』レポート 都市の暗部に目を向ける

2024.9.11

#ART

Chapter3.「ストーリーテリング」 都市のとある迷宮に挑む物語

『under city(2024年版)』2024年

そして4階で本展を締めくくるのは、2023年から継続しているというプロジェクト『under city』のインスタレーション作品だ。『under city』とは、東京の9つの地下空間をスケーターが滑走する様子を撮影 / 編集し、まるで巨大な地下迷宮を探索しているように仕立てた映像作品。本展では暗い室内に散りばめられた5つのモニターを使って、地下空間での音や光の感じ方、注意の向け方などを追体験できるようになっている。『SIDE CORE展』のハイライトと言える作品なので、ぜひ椅子に落ち着いてじっくり鑑賞してみてほしい。まるで映画を観ているようで、20分弱の上映時間があっという間に過ぎるはずだ。

『under city(2024年版)』2024年

どんな映画かというと、それはSFである! 防護服の上に照明機材を背負い、粛々と秘密の階段を降りていくスケーターたち。地下迷宮を前に表情を引き締め、慎重に滑走を始める。その姿は「人類存続をかけて外惑星に降り立った決死の開拓隊」そのものだ。雨水調節池などの地下空間は多くの人にとって知られざる都市の暗部である。その上で日頃生活していて、なんなら大雨の時にはお世話になっておきながら、そこに意識が向けられることはほぼない。ここに至ってしみじみと感じたが、私たちは都市について、あまりにも無頓着で無防備なのかもしれない。

彼らはそこに斬り込み、踏破しようする。それは徒歩でなく、自転車でもなく、スケートボードであるべきなのだ。スケートボードはそもそも路地裏を行くもので、普段人が見ない場所に目を向け、未開拓のスポットを攻略するものだから。そうして都市の地下空間をスキャンし、世界の外郭を知る。ひいてはその中心として立つ、自分自身を確認する……そんな物語を感じた。

4階にて

ちなみに同じ4階では、台上に特に説明もなくバケツが置かれている。雨漏りするのかな? と覗いてみると、底に穴が空いており、下階の音の彫刻『コンピューターとブルドーザーの為の時間』が見えた。頭を近づけると、球が転がる金属音がちょうどいいまろやかさになって聞こえてくる。こうして楽しむものなのか分からないが、なんだか得した気分になった。

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