夏フェスシーズンも終盤に差し掛かる8月31日(土)と9月1日(日)に、大阪府の泉大津フェニックスで『RUSH BALL 2024』が開催される。今回はラインナップや会場の特性などから見どころを紐解いていこうと思う。
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フェス中止が相次ぐコロナ禍で先頭をきった勇気あるイベント
2023年に25周年、泉大津フェニックスでの開催も2024年で20回目を迎え、関西有数の夏フェスとして親しまれてきた『RUSH BALL』だが、「コロナ禍で全国初の5000人規模のフェス」として開催された2020年のことも記憶に新しい。多くの大型フェスが中止となる中、厳しい感染対策を定め開催した姿に、筆者もフェス好きとして大いに勇気づけられた。また同年初めて設置された日傘使用可能エリアなど、近年さらに逼迫している熱中症対策にいち早く取り組んでいることも印象的で、その先見的な姿勢はコロナ禍を経た今も関西のフェスをリードしている。
そんな関西の大型夏フェスと言えば『SUMMER SONIC』や『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL』などが挙げられるが、それらがメジャー層を中心としたバラエティを指向していることと比べて、『RUSH BALL』は「ライブハウスの延長戦」をテーマに掲げ、ライブハウスの肌触りが感じられることが印象的だ。

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ライブハウス愛に溢れるブッキング
2ステージのうち、メインステージに出演するKANA-BOONやキュウソネコカミなどは、1990年生まれの筆者が若い頃に神戸のMersey Beatや南堀江のSOCORE FACTORYといった関西のライブハウスで観た印象が強く残っているし、クリープハイプやw.o.d.だってそう。全国区の売れっ子が並ぶ中でもライブハウスの文脈が軸にあることは、『RUSH BALL』の特筆すべき精神だろう。こういった点は神戸の『COMING KOBE』や京都の『ボロフェスタ』と通じるが、それらが神戸・太陽と虎や京都・Live House nanoといったライブハウスを起点に広がっていったことを思うと、特定のライブハウスに紐づかない『RUSH BALL』の立ち位置は特異に思える。関西有数のプロモーターである主催のGREENSだが、ちょうどコロナ禍から『ライブハウスへ行こう!』と題して関西のライブハウスを訪れるYouTubeのインタビューシリーズを続けていることからも、関西全域の現場密着型の姿勢が根幹にあることがうかがえる。