大阪・千日前の味園ビルの飲み屋街が2024年内の閉鎖が決定し、ビルの解体が検討されている。
1955年に完成した同ビルは、かつてはキャバレーやスナック、ダンスホール、サウナなどが入居し、煌びやかなネオンサインやモダンで高級感のある特徴的な外観と高度経済成長期の好景気も相まって評判を呼び、昭和の大阪を象徴するランドマークとして知られている。
1980年代のバブル経済期まではミナミの歓楽街を代表する存在だったが、1990年代半ば以降は2階テナントフロアの大半が空き物件になるなど、一時は低迷した。しかし、運営会社の方針で2004年にテナント料を大幅に下げ、若いオーナーが中心のバーや飲食店を誘致したことにより、東京の新宿ゴールデン街と並ぶ日本のサブカルチャー、アンダーグラウンド文化の発信地としても注目されるようになった。
地下一階にある貸しホールの味園ユニバースは、キャバレーの雰囲気を残すライブハウスとしても知られており、これまでに数々のアーティストによるライブが行われてきた。
2015年には同地を舞台にした山下敦弘監督の映画『味園ユニバース』も公開されており、渋谷すばる、二階堂ふみらが出演。本人役で出演した赤犬をはじめ、大阪出身のバンドも登場した。
2024年だけでも奥田民生や真心ブラザーズのYO-KING、DYGLやKID FRESINOも味園ユニバースのイベントに出演。6月にはOGRE YOU ASSHOLEによるイベント『””DELAY 2024″”』が開催予定で、カネコアヤノの出演も予定されている。
2024年で築69年を数える同ビルは老朽化が問題となっており、入居する飲食店には正式に年内の契約終了の通達がされている。ビルの解体も検討されているが、正式な発表は未定となっている。