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「自分でも漫画を描いてみたくなりました」(押山)
『ルックバック』は2人の少女が漫画家を目指して奮闘する物語だということもあって、本イベントのテーマでもある「クリエイター」に関する話題も上った。
林が「漫画家やアニメーターは、起きている間ずっと描き続けています。この作品がクリエイターに大きく響いたのは、そうした様子をこれでもかと描いたことだと思います。そして実際に押山監督もそうでした(笑)」と語ると、「普段やっていることと内容が一致した、幸福な作品でした」と押山も同意した。
押山は、本作の制作を通じて「自分でも漫画を描いてみたくなりました」と語る。けれども40歳を超えていても可能性はあるだろうか? と尋ねる押山に、林は「ものすごくあると思いますし、今後会社を定年退職した漫画家が増えてくるんじゃないかという予感もしています。今は様々なテクノロジーが作業をサポートしてくれますし、いずれ日本人全員が漫画を描いた経験がある状態にしたいんです」と力強く背中を押した。
押山は、漫画を描いてみたくなった背景に、アニメ制作は膨大な時間とお金がかかる困難がつきまといがちな点があると話す。「今から新作映画を作ろうと思っても、完成は5年先ぐらいでしょう。でも漫画は1人で描けるし、言ってしまえば生活費プラスアルファぐらいの費用で済みます。今は漫画やアニメに海外の投資家も注目している中で、1年ぐらい時間を投じてもいいかもしれないと思っています」。