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夢を見せたくはないから、リアルな東京で思うザイオンを歌う
―“兄弟”の<MTVに出ていたカート・コベインの 退廃的なその声が耳から離れなくて>は実体験ですか?
下津:僕NIRVANAを初めて認識したのがMTVアンプラグドの映像やったんで、最初フォークの人らかと思って(笑)。あのときの声には物悲しさがあって、なんかもう「半分死んでるやん」みたいな、小さいときにそう思ったんですけど、あの感覚が僕の中のロックにはあるし、多分みんなカート・コバーンのそういうところに惹かれてると思うんです。痛みを持つことは意味ないことじゃないなとか、友達に直接は言えへんけど、歌やったら言えるかなと思って書きました。
―“Boy”の<あのチャンネルには映らないようにね>という歌詞も、BECKのMTVでのインタビューがモチーフになっていると以前話してくれましたよね。
大久保:ケーブルテレビ世代だからね。
下津:ケーブルブルースっすね。あの不自由な感じよかったよな。1980年代後半の音楽バブルは羨ましいですけど、でもその頃に生きてたらこんな真面目に音楽してないと思います。

―踊ってばかりの国が自主レーベルを設立してからもう5年が経っていて。もしかしたら、音楽業界がドンと構えてる一昔前だったら、今のような活動はできなかったかもしれないけど、今は独力でも活動ができる時代になっていますよね。ただ、踊ってのようにキャリアがあって、それこそ野音だったり、自主でやりながらも大きな会場でコンスタントにライブができてるバンドは決して多くはなくて。
下津:みんな辞めてっちゃうんですよね。
谷山:一番でかいのはマネージャーの中村さんが見え方とかをいろいろ考えてくれてることで。5人で始めたときは結構適当だったけど、いろいろ整えてもらって、だからまさかこうなるなんてって感じで、びっくりしてるというか。最初みんなで出せる分だけ持ち寄って、15万円ぐらいの資本から始めてるんで(笑)。
下津:日比谷野音をやって思ったんですけど、あのステージには確実に僕らだけの力では立ってなくて。でも多分マネジメント会社がついてたら、会社の人が全部やっちゃうから、アーティストには苦労してる人が見えないんですよね。だから言い方悪いけど、天狗っぽい、しょうもないやつらが生まれがちなんですけど、僕らは直接見るし、喋るしかないから、いい選択をしたなと思ってます。苦労を知って、その上でステージに立ってるってことをちゃんと理解できてるのは、他のバンドと違うかなと思います。もちろん、昔からそれをやられてる人もいるんですけど。
―ちょっと無理やり紐付けちゃうけど、そういう直接的なコミュニケーションの実感があるから、“兄弟”みたいな曲を説得力を持って歌えるのかなって。
下津:友達のバンドマンとかも基本みんな音楽に悩んでて。でもそれってすごくプラスの悩みやから、そういう人たちの背中を押せるような曲を書けたらなと思ったし、自分も実際この曲に背中を押されてるし、すごくいい曲書いたなって。自分で言うてしまうとあれなんですけど(笑)。
―それこそくるりの“ロックンロール”も背中を押すような曲だと思うし、“兄弟”もそういう1曲だなっていうのはすごく思います。最後に、このアルバムの起点になったという“ZION”の話も聞かせてもらえますか?
下津:レゲエの曲の中でザイオンが出てくる場合、「ザイオンを目指そうぜ」みたいなことは歌われるんですけど、あるかないか、くらいの感覚のザイオンって誰も歌ったことないなと思って。このリアルな東京で思うザイオン、ちゃんと地面に足をつけて、その上で空を見てる青年の像は絶対捨てたくなかったというか、夢を見せたくはなかったんですよね。でも、僕たちは希望にすがらないと生きていけないから、「行きたい」とか「行った」で終わるんじゃなくて、「僕も連れてってくれ」で終わってるっていう。
―本当にあるかどうかはわからない、そういう迷いの心境もリアルに描きつつ、でもやっぱり希望はあって欲しいというささやかな願いがこの曲には込められていると。大団円で終わるんじゃなくて、ちょっと余韻を残して終わる感じもいいですよね。
下津:まだ旅が続くんだよっていうのも、この曲には出てるかな。だから「次回もこうご期待」みたいな感じですね。

踊ってばかりの国『On the shore』

Release: 2024.7.24
Format: CD / Digital
価格: ¥3,300(税抜価格¥3,000)
Label: FIVELATER
Track:
1.Universe
2.兄弟
3.H2O
4.Au te amour
5.サテン
6.On the shore
7.ビー玉
8.燈
9.ムカデは死んでも毒を吐く(DADGAD Ver)
10.ZION
『Overdreamt』

タイトル: 「冬の光2023 at 日比谷野外大音楽堂」
Release: 2024.7.24
Format: Blu-ray+写真集
価格: ¥7,480(税抜価格¥6,800)
Label: FIVELATER
OfficialWeb:odottebakarinokuni.com/
STORE:store.odottebakarinokuni.com/
Official Twitter:twitter.com/odotte_official
Official Instagram:
http://www.instagram.com/odottebakarinokuni_official/
YouTubeチャンネルwww.youtube.com/channel/UCu12TV4dEZdb04omq4aWfvQ
踊ってばかりの国|On the shore release tour「渚にて」

9月28日 神奈川県 横浜ベイホール
10月4日 広島県 広島CLUB QUATTRO
10月6日 香川県 高松DIME
10月19日 長野県 松本MOLE HALL
10月20日 石川県 金沢vanvanV4
10月25日 北海道 札幌PENNY LANE24
10月26日 北海道 旭川CASINO DRIVE
10月31日 熊本県 熊本NAVARO
11月1日 福岡県 福岡BEAT STATION
11月3日 沖縄県 那覇Output
11月4日 沖縄県 那覇Output
11月15日 宮城県 仙台MACANA
11月22日 愛知県 名古屋THE BOTTOM LINE
11月23日 大阪府 大阪味園ユニバース
11月30日 東京都 恵比寿GARDEN HALL
チケットオフィシャルサイト先行
受付期間
2024年7月12日(金) 21:00〜2024年7月28日(日)23:59
https://eplus.jp/odotte24tour-of/