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歌詞が動いた瞬間にパッとギターが対応してくれる面白さ
―タイトル曲の“On the shore”もめちゃめちゃ名曲で。こういう4つ打ちのアプローチは踊ってばかりの国ではそんなに多くないですよね。
下津:初じゃないですかね。ここまで都会的なビートになることは。
―この曲も最初は弾き語りだと思うんですけど、なぜこういうアプローチに?
下津:この曲を書いたのはみんなで新潟のフェスに行ったときで、場所は海辺やったんですけど、冬やったんですよ。だからサンシャイン満開のカリフォルニアのビーチって感じの海じゃなくて、人々の暮らしがそこに吸い込まれているような暗さというか、重たさがあって。そのときの海の表情をコード感にしていて、だからこの暗くもなく、明るくもないところに落ち着いたんです。4つ打ちにしようと思ったのは僕じゃなかったと思います。「こういうのどう?」みたいなのはいつもタイキがセッションの中で言ってくれて、そこから膨らませてたかなと。
坂本:“ビー玉”とかもそうだけど、淡々としてて、ロウな冷たい感じのグルーヴとか質感をリズムで捉えるなら、どんな感じかなって。“On the shore”はそれこそハウスとかのイメージですかね。
下津:これは軽くしちゃうとめっちゃ軽い曲になっちゃうんで、重たいニュアンスを忘れないように気をつけました。このコードの響きに準ずるようなエフェクターの使い方、ディレイもまとわりつくような感じにするとか。軽快にもなりすぎず、踊れなくなることもなく、っていうのは結構難しかったです。ボーカルめっちゃ録り直しました。一番苦手な部門です(笑)。
―張り上げるでもグッと抑えるでもなく、その中間の難しさですよね。
下津:ウーピー・ゴールドバーグにいくか、ルー・リードにいくかですけど、これは東京のお兄ちゃんでおらなあかんから、それが大変でした。
―クールなんだけど優しい東京のお兄ちゃん、その感じよくわかります。ギターは不協和音を多用しつつ、でも最終的にはポップに着地しているのが素晴らしいです。
下津:印象的なギターのリフレインがあるんですけど、あれは<白南風の調べ>の「白南風」ちゃうかなと思って。歌詞が動いた瞬間にパッと対応してくれるという、踊ってばかりの国はそういう面白みもありますね。そういうときは2ちゃんねるの「キター!」みたいなやつが脳内で流れます(笑)。
