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第3章「大装飾画への道」では、大型の『睡蓮』にぐるりと囲まれる

第3章では本展の目玉となる、オランジュリー美術館を思わせる楕円形の空間が造られている。「大装飾画」の制作過程において生み出された、横幅2mを超える大型の『睡蓮』作品8点がぐるりと鑑賞者を取り囲む。画像は無人状態のオフィシャル提供素材だが、実際はこの展示室のみ写真撮影がOKということもあり、非常に多くの来場者で賑わっていた。どちらかというと作品よりもモネを愛する仲間たちに没入する体験ではあったが、それもまたよきかな。時間をかけてでも、上手く隙をぬって、作品とできるだけ距離をとって鑑賞を楽しみたいところだ。なんせ、この『睡蓮』たちは大型なのである。

ここにある睡蓮たちは1914年以降に描かれたもので、バリエーションは実にさまざまだ。構図は似ていても、時刻や天候によって印象がガラリと異なる作品となっている。モネは1908年の時点で「水と反映の風景にとりつかれてしまいました。老いた身には荷が重すぎますが、どうにか感じたままを描きたいと願っています」と言葉にしているが、まだまだまだまだ、とりつかれていることがわかる。鑑賞者のほうが戸惑ってしまうほど、モネは全く、睡蓮に飽きていないのだ。

なかなか距離が取れなかったので、反対に、思いきって近距離で撮影してみた。短く繋げられた赤のラインが、微かに立ち上がった葉の輪郭と陰影を思わせる。さて、上の画像に写っている4点のうち、どの作品の部分でしょうか?