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画期的な学園ドラマ『御上先生』は理不尽な社会そのものを描く

2025.3.23

#MOVIE

©TBS
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御上の過去と社会への怒りが描かれた第6話

清廉な正義感と社会への怒りを持っていた御上の兄・宏太(新原泰佑)©TBS
清廉な正義感と社会への怒りを持っていた御上の兄・宏太(新原泰佑)©TBS

ドラマ全体の核心とも言える回となった第6話。それまでに回想シーンで何度も描かれてきた御上孝の過去が明かされた。中学生だった御上(小川冬晴)には、同じ系列学校の高等部に通う兄・宏太(新原泰佑)がいた。宏太は、発達障害のある生徒たちを高等部に進学させないという不当な差別を行っていたことへの抗議として、学校の放送室での全校放送後の自死を選んでいた。これは、宏太から学校への、ひいては社会への怒りが現れた行動だ。

宏太が自死を選ぶ前、彼は抗議活動をきっかけにクラスでは腫れ物扱いされていた。誰も宏太が持つ強い怒りに見向きもしなかったのだ。そして、母・苑子(梅沢昌代)からの「そんな子たちのために、自分の人生を犠牲にする必要なんてない」という言葉、当時中学生だった御上からの「友達に言われたんだよ。『お前の兄さん、この頃おかしいぞ』って」という言葉が、宏太の希望の糸を切ってしまった。宏太の怒りは正しい。清廉な正義感を持つ宏太にとって、うまく生きるために理不尽から目を背けなければならない世界は、とても生きづらかったのだろう。しかし、宏太が死んでも社会は変わらなかった。

自らの過去を明かし、生徒たちに向き合った御上©TBS
自らの過去を明かし、生徒たちに向き合った御上©TBS

御上はこれまで、自分が置かれている理不尽に怒りを覚える生徒たちに「考えて」と投げかけてきた。それは、怒りをぶつける先はどこか、どのような行動に効果があるのかを生徒自身の頭で考えさせるためだろう。

御上自身も、宏太の死を伴った抗議を無駄にしないため、そこから生まれた怒りを表現する先として、文科省官僚という職業を選んだ。そして、隣徳学院と文科省と永田町との不正問題へと辿り着く。不正を暴くために訪れた場所で、宏太が亡くなった年齢と同じ世代である3年2組の生徒たちに向き合うことは、御上にとって宏太への罪滅ぼしでもあるのだ。

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