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『IT/イット』にも近いニコラス・ケイジ演じる殺人鬼のおぞましさ
本作の目玉のひとつは、40年以上のキャリアで初めて連続殺人鬼役に挑んだニコラス・ケイジだ。不可解で真意の読めない言動はもちろん、尋常ではない狂気をまといながら幼い子どもに近づいていくおぞましさ、さらにはダークなユーモアを感じさせる点は、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり』(2017年)の殺人ピエロ、ペニー・ワイズを思わせる。
ニコラス・ケイジ自身がイメージしていたのは、『魂のジュリエッタ』(1964年)に登場する「“私きれい?”と聞く中性的な霊能者」だったそう。さらに、特殊メイクアーティストのハーロウ・マクファーレンが造形の参考にしたキャラクターのひとりは『アマデウス』(1984年)でF・マーレイ・エイブラハムが演じたアントニオ・サリエリだったそうだ。その意図についてハーロウは「ロングレッグスの本当の怖さは、彼が実在しうること、そしてごく普通の人が言いようのない恐ろしいことをすることにある」と語っている(プレス資料より)。

さらにハーロウによれば、ロングレッグスには「悪魔に恋して、悪魔に自分をアピールしている。自分をできるだけきれいに見せようと、整形手術とその失敗を繰り返してきた」という設定もあるそうだ(プレス資料より)。特徴的な「つけ鼻」を含む特殊メイクのこだわりもあり、すぐにはニコラス・ケイジだと認識できないほどの変貌を遂げており、劇中でその設定に説得力を持たせるだけの演技力と存在感にも期待していいだろう。
また、主演のマイカ・モンローは『羊たちの沈黙』に加えて、『ドラゴン・タトゥーの女』(2011年)から多くのヒントをもらったそうだ。「ルーニー・マーラが演じたリスベット・サランデルも、(今回演じた)ハーカーも自分を部外者のように感じていて、どこにも馴染めず、犯罪を解決することだけが唯一しっくりくる場所だというところが似ています」とも語っている(プレス資料より)。その「孤独」につけ入ろうとするニコラス・ケイジ演じるロングレッグスの存在は、本作における恐怖の核心のひとつだ。
