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カイリー・ミノーグはいかにして、世代を超えて愛されるディーバになったのか

2025.3.11

#MUSIC

1990年代の試行錯誤、2000年代の大復活

しかし1990年代になると、ユーロポップの退潮とともにカイリーの人気にも翳りが見え始める。UKではブリットポップの台頭ともにシーンが変化し、彼女の音楽がトレンドとうまく噛み合わなくなった。また、彼女自身もトリップホップやエレクトロニカに接近するなど方向性を模索するがサウンド面での焦点が定まりきらず、批評的にもセールス的にも振るわない時期が続くことになる。いま思えば、女性ポップシンガーを軽視する風潮が強くなった時代背景もあったかもしれない。

本格的な復活となったのは、俳優としてのキャリアに集中したあとパーロフォンにレーベルを移籍してリリースした2000年のシングル“Spinning Around”と、同曲を収録したアルバム『Light Years』でのことだろう。ポップスへの回帰をテーマとした同アルバムは、1970年代のディスコを参照しながら華やかなダンスポップを全面的に展開。また、初期からのキュートなイメージを残しつつ、大人っぽいセクシーさを纏うようになり、ロビー・ウィリアムズとのデュエット曲“Kids”などでは洗練された現代的な女性像を提示していた。

そして2001年、決定的なシングル“Can’t Get You Out of My Head”がついにリリースされる。一度聴いたら忘れられない「ラン、ラ、ラ~」のフレーズ、どこか妖しい香りを放つシンセサウンドとディスコビート、そしてカイリーの艶っぽい歌。全世界で大ヒットしたこのキラーチューンはポップ史に残る一曲となり、ゲイクラブの超定番アンセムとして現在もダンスフロアを沸かせている。

同曲を収録した『Fever』は完成度の高いエレクトロポップを揃え、音楽的にもフォーカスができていたし、ミシェル・ゴンドリーが手がけた“Come Into My World”のミュージックビデオが話題を集めたこともあり、アイコンとしてもさらにクールな存在となっていった。

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