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粉川心×八幡亜樹対談 ビジネスの枠にとらわれず、アートを体現する生き方のゆくえ

2024.9.30

kott presents RS5pb『TOTEM』

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「芸術はこの世の希望ですよ」(八幡)

八幡:私の場合は、人間が生きるために必要な芸術をやっていかなきゃいけないみたいな思いがあるんですけど、粉川さんもそんな感じってことですか?

粉川:その感じはずっとあるかな。ざっくり言ったら、世界に対するこっちの勝手なおせっかいで。アートで開かれた感性で生きる世界はきっと素晴らしいし、楽しいよっていうのをずっと発信している。

八幡:私、医療現場でも働いているんですけど、本当に芸術の分野しか知らないでやっていたときは、どんなに「社会のため」っていう部分があっても「結局エゴでしか終わっていかないんじゃないか」っていう思いもあって。

そういうプロセスを経て、医療現場では反対に、いわゆる近代医学だけではどうにもならない場面に出会うことがあって。そんな時、私は芸術が必要だってすごく思うんですよ。だから、きっと単なるエゴじゃなくて人間にとって必要な芸術は絶対あると思うし、そこに向かって粉川さんもやってるんじゃないのかなと思います。

粉川:僕はその思いが最近少しブレる事もあって、AIやら何やらと行きすぎたように見える文明の中で、人々の芸術を受けとる感性が弱体化してると感じてて、そんな中で活動していると暖簾に腕押し感を感じることが増えて、芸術は本当に人類に必要なのだろうか。ってブレるときがある。けど、八幡さんはそれをね、ドーンって確信持ってるのが最高なんですよ。

八幡:芸術はマジでこの世の希望ですよ。

粉川:これを言い切ってくれる人が中々いない。アーティストはこういう人が近くにいてくれると本当に救われますよ。

八幡:私にとって「生きること」と「芸術」って絶対に切り離せない。業界にいるとだんだんそこが乖離していくような感覚があったんですけど、いかに命の隣で芸術をやり続けるかみたいな、その距離を絶対に離しちゃいけないと思うんです。だから、粉川さんのプロフィールを見たときに、そういう感覚でやってる人なのかもと思ったんですよね。

ー業界にいると自分の思いが剥離していってしまう理由っていうのは、何なのでしょうか。

粉川:敵は資本主義ですよね。

八幡:難しいところで、仕事として展覧会をすることは大切ですけど、展覧会をこなすこと自体が本質ではない。突き詰めて納得のいく作品をつくり続けることの方が重要。でも、そういうときに何か、タイミングみたいなものが合わなくなっていったりすることもある。私の場合は、芸術の追求としての医学の勉強と展覧会の仕事のタイミングを合わせるのが難しくなったりした。そのことで美術をやめたと誤解されることも。今はまた物理的に芸術を主軸にできる状況になり、展示が続いても、腑に落ちるところで楽しく制作できるようになりましたが、特に若い時は上手くこなせないときあって、その微妙なずれを敏感に感じてしまって。そのずれが、生きることと芸術の乖離のように感じてしまっていたことはあったと思う。

粉川:芸術に真面目であればあるほど、その辺にぶつかりますよね。

ー生きるってたくさんの要素を孕んでいるように思いますが、お2人は生きるという意味をどのように捉えているのでしょうか。

粉川:人の役に立つことだと思う。アートで本当に人の役に立つためには、作品を最強にしないといけない。だから、作品を強くすることのみに注力できたら理想ですね。人の役に立てば、そこにちゃんとお金も発生するだろうし、生きられる。それをより大きな単位でやりたい。世界に面白いを投下しまくりたい。

例えば、スーパーで働いていても人のためになっている。でもそうじゃなく、アーティストじゃないとできない領域まで持っていって、それを処方したいというか……。どうでしょうか?

八幡:私にとって「生きる」というのは、自分にとってというよりは、「人が生きる」という、自分以外のだれかの生も込みで言っていることが多いです。自分が手に届く範囲を大切にしながら、何ができるか。自分の身近なものって結局、遠くの誰かと繋がってると思うから、身近なものに丁寧に向き合ってつくっていくことが大事かなと。そういう時空を超えたことを実現できるのが芸術な気もする。

粉川:遠くに飛ばすためには強度がいる。言うなれば、普遍的な力。そんな圧倒的な力を持ってる作品がたまにあります。人間の根源に触れるような作品ができたなら、より遠くまで飛ぶんじゃないかなって思いますね。

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