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初回公演の手応えを胸に、変化し続ける惚てってるズ
ー初回公演では短編3本と映像2本のコントが披露され、それぞれが個性を存分に発揮しながら、至って真剣に観客を笑わせている様子が印象的でした。演じてみての手応えはいかがでしたか。
金子:めちゃくちゃ楽しくて! またやりたいな、とすぐに思いました。
前原:始まった瞬間に、客席からの反応、熱が届いたことが大きかったですね。自分たちのやってきたことに反応が返ってくるんだ、って。
三村:自分にとっても、面白いっていう反応を間近でもらったことは大きかったですね。
ー先ほど金子さんから主体的に表現できる場が欲しかった、というようなお話がありましたが、オファーを受けた場と自分たちで作り上げた場では何か違いがありましたか?
金子:全然違うようで、結果的にやっていることは一緒だったな、と思いました。惚てってるズは自分たちの好きなことを表現する場といえども、やっぱりお客さんからお金をもらっていますから、確実に面白くなければいけないという気持ちがあって。自由だからこそ、そこの責任はちゃんと感じなければダメだなと思いましたね。
三村:いい芝居をするだけというか。
前原:僕は、やっぱり自分たちがオファーを受けるのではなくて、こちらから作家さんや演出家さんにオファーをすること自体が楽しかったです。幾らで作品を書いてください、幾らで演出してください、と自分たちでオファーして作り上げてもらった台本は、やっぱり普段の感覚とはまた違っていて。作品の誕生に根源から立ち会っているという感覚は、普段味わえない、特別なものだなと思います。
2人が言ったような責任もすごく大きいし、お客さんをちゃんと呼んで売り上げないと、僕ら自身が赤字になってしまう部分もある。そういう事情もちゃんと考えながら作品に向き合えているのは贅沢な体験だな、と思います。

ー4月25日からは第2回公演『惚て並み拝見』が始まります。前回の公演からは約1年の期間が空いていますが、稽古をする上での気持ちの変化はありますか?
金子:1回目を経験したことで、なんとなく要領がわかってきた部分はあります。気を抜くとかではなく。でも、本番まではどうなるか本当にわからないですね。確実に面白いとは思っているんですが。
前原:前回の公演は割とポップな内容だったと思うのですが、今回はそれと全く違う、より人間的な、ダークな部分も織り交ぜた公演になりそうです。『憐れみの3章』(ヨルゴス・ランティモス監督、2024年)って映画を意識してるんですけど、脚本家の1人である田川(啓介)さんは、すごく不条理、ナンセンスなんだけど笑えて、暗いし陰鬱としてるんだけどカラッとしている、本当に絶妙なバランスのコメディを書ける人で。日本でランティモスみたいなことをやるなら田川さんしかいないと思って、しばらく演劇から離れていたところを、お声がけして書いていただけることになりました。
金子:もう1人の脚本家であり演出家の石黒(麻衣)さんも、まずいろんなことをやってみて、その中で本番までに一番面白い形ができたらいいよね、みたいな考えの方なので、すごく俺らに合っている気がします。
前原:特に金子くんは本当、めっちゃアクティブで。毎回稽古で違う芝居をするし、そのチャレンジが大きいから、感動するよね。それを演出家さんもすごい喜んでくれているのが見ててわかりますし。
三村:同じことをやり続けたら、自分たちで飽きそうだし、お客さんにも飽きられそうだなと思うんです。公演のコンセプトはもちろん、お芝居においても、1回ウケたことを繰り返すのはちょっと恥ずかしいので。僕もできるだけ変化し続けていく、というのを意識しながら稽古しています。
