メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

高木正勝と金子雅和の作家談義 創作の中で出会った、それぞれの人生の源流

2025.6.25

#MUSIC

「自然を守ろう」というテーマは人間中心的

高木:金子監督に、ひとつ質問してもいいですか。そういうルーツ的なものというか、こういう話って、突き詰めると「いい話」になっていくというか、こうせねばならないみたいな話に結びつきがちじゃないですか。それが個人的には、ちょっと気になるときがあって。

僕はこの映画に関わるようになってから、お経に音楽をつけてみたりとか、仏教に関する勉強を少しずつ始めたりしているんですけど、それは、この映画と結びつきがちな「自然を大事にしよう」みたいなエコロジー的なものとは、ちょっと違うような感じもしていて。そのあたりのことを、金子監督は、どのように考えているのかなって思って。

金子:わかります。この映画が国際映画祭で上映されたとき、まれにですが後ろ向きな評価として「この映画の中には、気候変動など今日の環境問題的なものを読み取ることもできるから、そこをテーマとしてもっと前景化してほしかった」というコメントがあって。「そこを前景化しないで、結局少年の話だったり恋の話になるところが、よくわからない」と。逆に僕は、それが前景化するのは、ちょっと違うと思うんです。「自然を大切に」って、あくまでも人間中心の発想じゃないですか。結局、自然を大切にしないと人間が困るから、やっていることで。それはおこがましいことだと思っています。

『リング・ワンダリング』も、自然への畏怖が込められた作品

―「SDGs」も、まさにそういうものですよね。人間にとっての「持続可能な開発目標」であるという。

金子:そうですね。そういう意味で、高木さんの映画のラストシーンの解釈「自然から返答をもらった」は、自分も改めてハッとさせられたところがありました。多少うがった見方ではありますけど、「自然を守ろう」的なテーマがはっきりしているほうが、映画祭の審査などでは評価されやすいのかもしれませんが、そこがいちばん大事なことではない。むしろそうじゃないところで、自分は作品をつくり続けたいと思っています。

『光る川』場面写真

映画『光る川』

出演者:華村あすか 葵揚有⼭実俊 / ⾜⽴智充 ⼭⽥キヌヲ / 髙橋雄祐 松岡⿓平堀部圭亮 根岸季⾐ 渡辺 哲安⽥ 顕
脚本・監督:⾦⼦雅和⾳楽:⾼⽊正勝 共同脚本:吉村元希 美術監督:部⾕京⼦ 撮影:⼭⽥達也 ⾳響:⻩永昌 OP アニメーション:⾼橋昂也原作:松⽥悠⼋(「⻑良川 スタンドバイミー⼀九五〇」より)製作:⻑良川スタンドバイミーの会 制作プロダクション:プロジェクト ドーン配給:カルチュア・パブリッシャーズ(C)⻑良川スタンドバイミーの会助成:⽂化庁⽂化芸術振興費補助⾦(映画創造活動⽀援事業) 独⽴⾏政法⼈⽇本芸術⽂化振興会【2024年/⽇本/カラー/1.85:1/5.1ch /DCP/108分】

▼上映劇場6月28日(土)〜下高井戸シネマ(東京)
7月3日(木)〜CINEMA Chupki TABATA(東京)にて、都内再上映決定!
上映劇場はこちらhttps://theaters.jp/23467
映画『光る川』公式サイト:https://www.culture-pub.jp/hikarukawa/

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS