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『ガザ日記』から見えてくる戦争のリアルさ
タカノ:まさかの『バリ山行』がパンク文学として紹介していただけるとは。そして、もう1冊は何ですか?
小野寺:これは最近読んだ『ガザ日記』という本です。パレスチナ人の作家の方が、イスラエルの侵攻が始まってからの3ヶ月間を書いた、本当に生々しい日記です。パンクの方たちってNO WAR、反戦、戦争反対が基本のスタンスとしてあるんです。でもNO WARと言うのは簡単ですが、なぜ戦争が起きてしまうのか、自分には何ができるのか、ということをちゃんと考えた上で、NO WARと言わなきゃいけないと僕は思っているんです。それを知る上でも、『ガザ日記』という本は、今ガザで何が起きているのかということをわかりやすく知ることができます。
これを読んでいると、戦争映画を観ている気持ちになってくるんです。例えば、この本の冒頭は、主人公が地元へ帰って海水浴をしているところから始まるんです。向こうの軍艦からミサイルが打ち込まれて、それを見ながら「また、ただの嫌がらせだろう」と、いつも通りみたいな感じで海を泳いでいるんですが、どんどんミサイルが打ち込まれてきて、「やべえ、やべえ」と逃げ出すんですよ。ついさっきまでいた場所に、コンクリート片が落ちてきたりとかもして。「映画じゃん」と思ってしまうんですが、これが映画じゃなくてリアルで起きているということに、結構びっくりします。作家の方が書いた日記なので、ぐいぐい引き込まれて読めるのと同時に、今何が起きているのかを、わかりやすく知ることができるので、すごくおすすめです。
タカノ:背景も含めて、全部知って考えた上でNO WARと言うべきという小野寺さんのスタンスが素晴らしいなと思いました。僕も読んでみます。
Celeina:気になる2冊のご紹介ありがとうございます。さて「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介してもらっています。どんな方をご紹介していただけますか?
小野寺:今年の7月に、『『百年の孤独』を代わりに読む』という本をハヤカワ文庫から出版された、作家で編集者の友田とんさんをご紹介します。
Celeina:代わりに読む、という視点が気になりますね。今日は出版レーベル「地下BOOKS」の小野寺伝助さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

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ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann