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Limited Express (has gone?)の飯田仁一郎は、枠を作らず多岐に渡る活動を続ける

2024.5.13

#MUSIC

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

1月30日は、バンド「Limited Express (has gone?)」のギターで、京都のDIYフェス『ボロフェスタ』の代表、そして音楽情報、音源配信サイト『OTOTOY』の取締役、さらにリアル脱出ゲームイベントで有名な株式会社SCRAPの取締役を務める飯田仁一郎さんが登場。飯田さんが手掛ける4つのコンテンツにこめた思いや、長年続けるコツなどについてお伺いしました。

20年近くバンド活動を続けられたのは、素直に変化を受け入れたから

Celeina(MC):昨日のゲストの麻生さんから「掴みどころのない変な人」と聞いていましたが、活動が多岐に渡っていて、掴みどころしかない方だと思いました(笑)。まずは、バンドのLimited Express (has gone?)のお話から伺いたいです。立命館大学のサークル、ロックコミューンで結成されたそうですね。

飯田:25年前ぐらいになりますが、立命館大学へ入学して、ロックコミューンというサークルに入った時に、ちょうど2つ上にくるりが在籍していました。その時はすでに、くるりが日本で売れることや大きくなることを意識して、学外に出てライブをしている姿を見ていたので、自分たちも頑張らないと、と思い、自然とオリジナル曲を作ったり、外のライブハウスでやったりするようになりました。だから、そういう意味では、他のバンドに比べると環境が良かったかもしれないです。

Celeina:20年近くバンド活動をされていますが、長く続けるコツは何ですか?

飯田:Limited Express (has gone?)で言うと、やりたいことが変わっていった時に、素直に変えたらいいと思えるように、自分たちで自分たちの枠を作らないことが大きいかなと思っています。僕たちもすごく売れたかった時期はありましたが、それがなくなったとしても、自分たちがやりたい音楽を追求するやり方もあると気づきました。そうやって、変化できることが大事だと思います。

Celeina:自分自身と向き合い話し合って、軌道修正しながら続けているんですね。

飯田:そうですね。売れたいだけだったら、絶対に続いていなかったです。

タカノ(MC):バンド活動に限らず、ものづくりをされている方や色んな方に言えることですね。

京都だからこそ自分たちにできるフェスがある

Celeina:バンド活動と並行して、2002年からは京都でDIYフェス『ボロフェスタ』を開催されています。こちらは、どんな思いで始められたんですか?

飯田:ちょうど『フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)』が始まって5年目の頃、『フジロック』は規模がすごく大きいけど、自分たちの住んでいる京都でもこういうことができるんじゃないかと考えたんです。もう1つの理由が、くるりの登場です。メジャーのレコード会社の人が色んなバンドをわざわざスカウトしに来るぐらい、京都ムーブメントが起こっていました。

でも京都ムーブメント=青田買いのようになって、どんどんメジャーデビューしたり、東京へ行ったりして、焼け野原みたいになったんですね。バンドも残っていなくて、誰も注目してくれないみたいな状態を肌で感じて、これはまずいと思っていた時に、自分たちにも『フジロック』がやれるんじゃないかと思ったんです。その思いが合わさって、「自分たちで、京都でフェスをやってみよう」と言って始めました。もう1度、自分たちのいる京都を見てほしいという気持ちがすごく強かったですね。

タカノ:その『ボロフェスタ』も、20年以上続いていますよね。

飯田:はい。『ボロフェスタ』も長く続いている理由は同じです。昔は京都大学の西部講堂という場所でやっていましたが、今はKBSホールに場所を変えて続けています。このフェスを大きくしようと考えたこともありましたが、大きくする=リスクが上がっていくんです。

近い友人に、「大きくしようと思ったらできるけど、偉い人たちが出てきたりして、今運営などをやっている周りの友達が変わっちゃうよ」と言われて。『ボロフェスタ』は、京都という地場で、しっかり地に足をつけてやるものだから、1日1500~2000人の規模でやろうと決めてからは、 続けることが楽になりました。大きくなることを目指さなかったのは、『ボロフェスタ』の特徴の1つです。

タカノ:皆さんの思いが乗っていて、心が通っていることが伝わります。

飯田:人口も少ない京都という特性でもあるかもしれないですね。『ボロフェスタ』だけで食べていくことはなかなか難しいので。

将来を見据えて、音楽情報&音源配信サイトを立ち上げ

タカノ:僕が気になったのは、飯田さんが『OTOTOY』の取締役もされているというところです。実は僕、プレスリリースをお送りしたりして、お世話になっているんですよ。こちらはどういう思いで始めたんですか?

飯田: Limited Express (has gone?)が2ndアルバムをリリースしたレーベルのオーナーで、高橋健太郎という音楽ライターがいるんですが、その方が『OTOTOY』の前身となる『recommuni』をされていたんです。『recommuni』は、いわゆる『mixi』の音楽版みたいなサイトで、そこのスタッフをやらないかと誘われたのがきっかけです。

でも『recommuni』は、ビジネス的にあまりうまくいかなかったんです。なので変革するタイミングで、僕が社長たちと企画を出して、現在の『ナタリー』や『CINRA』みたいに情報も知ることができて、タワーレコードみたいに楽曲も買えるようなサイトを目指そうと言って、始まったのが『OTOTOY』というサイトです。

タカノ:いつ頃、立ち上げられたんですか?

飯田:今年で15周年になります。

Celeina:当時はまだ音源配信があまり主流ではなかったですよね。

飯田:そうですね。でも皆、次は音源配信だということは分かっていました。ただ想像以上にCD販売が主流の期間が長かったので、そういう意味では、少し時間がかかりましたね。でも現在のようにサブスクや音源配信がメインになってからは、より軌道に乗ってきたので、『OTOTOY』を頑張って続けてよかったなと思います。

ワクワクして次を考えられることが未来に繋がる

Celeina:さらに、株式会社SCRAPの取締役も務められていますが、飯田さんはリアル脱出ゲームがスタートした当初から関わられていたんですか?

飯田:当時の『ボロフェスタ』の代表をしていた加藤隆生が、フリーペーパーの企画でリアル脱出ゲームを思いついて、「京都でやってみたらすごく売れたけど、東京の人は誰も注目してくれない」と、東京にいた僕のところに電話がかかってきたんです。「ちょっと見に来てよ」と言われて行ってみたら、めちゃくちゃ面白くて、これはちゃんと世の中に広めるべきだと感じました。そうして僕が東京でプロデュースや会場押さえ、宣伝をやり始めて、あれよあれよという間に大きくなったので、ちゃんと株式会社にしたという経緯があります。

タカノ:横浜のアソビルでも開催されていましたよね? その時、僕は面白法人カヤックのスタッフとして、アソビルで『ウンコミュージアム』をやっていたんですよ。

飯田:まさに、その隣でやっていました。

タカノ:僕もその時、リアル脱出ゲームを体験させていただので、もしかしたら、会場ですれ違っていた可能性があります。さまざまなジャンルを深く長く続けられているところが、飯田さんのすごさだと感じますが、活動の根底にある思いを教えてください。

飯田:やっぱり自分たちで枠を作らないということは大きいですね。4つもやっていると、もっと発展したいなど、それぞれのプロジェクトに意思が生まれるんです。ここまで大きくなったリアル脱出ゲームや、去年アルバムをリリースしたLimited Express (has gone?)について、次に何をやるかという時に、ワクワクして、常に考えていれば自然と続いていくと思っています。だから、続けることを目的にすることをやめてからは、気持ちが軽くなりました。いつでもやめていいから、この4つがあるうちはやり続けようと決めてから、自然と10年間ぐらい続いている気がします。

Celeina:ワクワクの赴くままに活動されているんですね。

飯田:はい。そういうところが、「掴みどころがない」と言われるのかもしれません。

タカノ:では、ここで1曲お届けしましょう。飯田さんにこの時間にラジオでみんなで一緒に聴きたい曲を選んでいただきました。どんな曲でしょうか?

飯田:はい。Limited Express (has gone?)が、去年リリースしたアルバム『Tell Your Story』から“WORLD’S END”という曲を聴いていただければと思います。

https://open.spotify.com/intl-ja/track/3DQXMfGmPJvWPhxbAGKPuD?si=60797803cfe7482f

エンターテインメントに関わる以上、ミーハーであれ

タカノ:この曲は英語、日本語、韓国語が入り交じっていますが、どんな思いで作られたんですか?

飯田:ボーカルのYUKARIは、が、K-POPの中でも特にBLACK PINKの革新的なところがすごく好きなんです。僕はノーウェイヴが大好きなので、そのテイストを融合できないかと思って作った楽曲です。

タカノ:メンバーとの化学反応で生まれたんですね。

飯田:はい。“WORLD’S END”という曲は、コロナ禍の時期にできたんです。色んな制限があったり、見方が変わったりした中で、 “WORLD’S END”みたいな状態だけど、それでも自分たちのシーンを貫いて、自分たちが大切にしていることはしっかりやり続けようという思いを込めました。

Celeina:メッセージが詰まっていますね。

飯田:読み解くことがなかなか難しいですけど、そういう楽曲です。

Celeina:色んな活動されている飯田さんですが、今気になっているカルチャーは何かありますか?

飯田:年齢が上がってくると、一般の方は聴いている音楽や芸能、カルチャー全般が止まったりするじゃないですか。だから、僕は株式会社SCRAPや『OTOTOY』の社員たちに「止まるな」と言っています。つまり、止まらない=「ミーハーであれ」ということです。ミーハーは恥じることではなくて、エンターテイメントに関わっている以上、どんどんミーハーであれと考えています。 若い子が聴いているものもどんどん取り入れて、「にじさんじが好きならどんどん聴きなさい」「VTuberってなんだ? と言うんじゃなくてどんどん見なさいよ」「TikTokもやってみたらいいじゃないか」、そういうことをいつも言っています。

そんな中でも最近は音楽だと、みんなのきもちなど、クラブカルチャーがすごく面白いので、クラブもヒップホップも今はすごく元気だなと感じています。そういう音楽を聴いて、自分たちのバンドに取り入れられないか、『ボロフェスタ』にそういう匂いを入れられないか、常に考えながら動いています。若い子たちが聴いているものはすごくリスペクトしていますね。

Celeina:先ほども、長く深く続けていくための原動力について、枠にとらわれないというお話がありましたが、情報収集や触れるものも、枠にとらわれないことが大事ですね。

タカノ:あと、ワクワクするというワードも出ました。ミーハーであり続けるということにも繋がっていますよね。

飯田:はい。ミーハーであり続けたいなと思っています。

Celeina:さあ、「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介していただいています。どんな方をご紹介していただけますか?

飯田:西澤裕郎くんという、もともと『OTOTOY』の副編集長を務めていた方です。『OTOTOY』では、彼と一緒にBiSHやBiSをずっと応援していました。1つのアーティストをずっと応援するということが『OTOTOY』の特徴の1つで、そういうものの原動力になってくれた方ですね。水曜日のカンパネラも、西澤くんがずっと追っていて『OTOTOY』でレポートを公開することを続けていました。その西澤くんが出版社を個人でやっているので、ぜひ紹介したいなと思いました。

Celeina:一言で表すならどんな方ですか?

飯田:愛すべき変なキャラです(笑)。

タカノ:変って褒め言葉ですからね。明日は愛すべき変なキャラ、西澤裕郎さんに繋ぎます。

Celeina:「FIST BUMP」今日は飯田仁一郎さんお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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