メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

映画『ブルーピリオド』レビュー 眞栄田郷敦ら若手俳優が演じる「狂気的」な努力

2024.8.9

#MOVIE

高橋文哉が体現した、美しさと繊細さを併せ持つキャラクター

原作漫画およびテレビアニメ版から高い評価を得ていた『ブルーピリオド』だが、やはり実写映画ならではの魅力は、実力と人気を兼ね備えた若手俳優それぞれが全力で作品に挑み、今この時にしかない魅力を放っていることだ。

冒頭の軽薄そうな印象を覆す、美術の道を選び取る切実さと、一つひとつ学んでいく実直さ、そして狂気までを見事に伝えた主演の眞栄田郷敦。美術がただただ好きであることが自然に伝わる天真爛漫な先輩を演じた桜田ひより。いわゆる「陰キャ」寄りの天才で彼なりの苦悩も表出させる板垣李光人。それぞれが素晴らしいことを前提として、ここでは高橋文哉を推したい。

森まる(桜田ひより):八虎の先輩で美術部に所属
高橋世田介(板垣李光人):美術予備校に入った八虎の前に突如現れる天才少年

高橋文哉が演じるのは、女性的な容姿と服装をした少年・鮎川龍二(通称ユカ)。一度観たら忘れられない初登場時のインパクトもさることながら、その圧倒的な美しさで、実写化が特に難しいであろうキャラクターを完璧に体現していた。見た目だけでなく、普段はリアリストでひょうひょうとしているようで、その内面が繊細そのものであることも、その演技力でこの上なく見せきっていた。

鮎川龍二(高橋文哉):自分の「好き」について葛藤する女性的な容姿の八虎の同級生

高橋文哉は直近で映画『からかい上手の高木さん』では純朴で真面目な先生に扮しており、その演技の幅の広さにも驚かされた。今後は9月20日(金)公開の『あの人が消えた』、2025年春公開予定の『少年と犬』と、高橋文哉の主演映画が公開されるので、そちらも注目だ。

そのほかのキャストでは、薬師丸ひろ子と江口のり子が、主人公に大切なことを教える先生役として絶大な説得力を持たせていることも見逃せない。それは、この映画の撮影における、ベテラン俳優と若手俳優の関係とシンクロしていたのかもしれない。

佐伯昌子(薬師丸ひろ子):八虎たちが通う高校の美術教師
大葉真由(江口のりこ):八虎たちが通う美術予備校の講師

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS