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アカデミー賞作品賞『アノーラ』レビュー 賛否のラストをあなたはどう解釈する?

2025.3.27

#MOVIE

賛否両論のラストシーンをどう解釈する? 

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※ここから先はラストシーンに触れています。 

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さて、本作のラストについて、ショーン・ベイカーはハリウッドレポーターのインタビュー記事で、「早くから結末がどうなるかはわかっていた、そしてその曖昧さが気に入っている」と語っている(Sean Baker, Mikey Madison Talk ‘Anora’: London Film Festival)。また、役者のために書いたエピローグを信じるかどうかは役者に委ねたとも。 

ラストをここで明かす野暮なことはしたくないが、ベイカーはアノーラが自分のために「ある行動」をした人物に、肉体を通じて感情を交わそうとするシーンを長回しで撮影している。この展開について、セックスワーカーの当事者や一部の批評家から、結局は自らの肉体に頼るアノーラの行動が短絡的ではないか、あるいはセックスワーカーに対するネガティブなステレオタイプを助長するのではないか、といった批判も出ている。

しかし、ベイカーは一貫して『ANORA』をセックスワーカーの話ではなく、アノーラという個の女性の決断を演じるマイキー・マディソンの判断に委ねた、ある種のドキュメンタリー要素の強い作品であると語っている。アメリカ人「アニー」としてふるまっていた女性が、ロシア語で「光」を意味する自らの名前や、自分から消そうとしていたロシア人であるルーツを受容するための行動ととると、ラストの風景はがらりと変わる。 

あなたはこの曖昧に設定された一人の女性の奮闘記をどうとらえるか。興味は尽きない。 

『ANORA アノーラ』

2025年2月28日(金)より公開中

監督・脚本・編集:ショーン・ベイカー 製作:ショーン・ベイカー、アレックス・ココ、サマンサ・クァン
出演:マイキー・マディソン、マーク・エイデルシュテイン、ユーリー・ボリゾフ、カレン・カラグリアン、ヴァチェ・トヴマシアン
配給:ビターズ・エンド ユニバーサル映画
2024 年/アメリカ/カラー/シネスコ/5.1ch/139 分/英語・ロシア語/R18+
©2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved. ©Universal Pictures
公式サイト:https://www.anora.jp/

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