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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

野田秀樹×岡田利規が語る、公共劇場の役割。演劇界を牽引する2人が語り合う

2025.10.27

#STAGE

舞台芸術祭『秋の隕石2025東京』と、2028年の壮大な計画

その後、「劇場は芸術の場ですから、ビジネスの論理ではなく、劇場のための言葉で語りかけるべき。作品以外の場で使われる言葉に関してもそこをきちんと意識して選びたい」(岡田)という発言から、劇場が発するメッセージの話題にも及んだ。

このトピックで筆者が印象的な出来事として思い出すのは、2011年、東日本大震災が発生した直後。演劇界で広がった公演中止の動きに対して野田秀樹がいち早く発した「劇場の灯を消してはいけない」のメッセージである。この文章はまだNODA・MAPのホームページで読めるので、興味がある方はぜひ全文で読んでいただきたいが(※)、筆者は当時、公演を再開したNODA・MAP『南へ』(妻夫木聡、蒼井優ほか出演)のカーテンコールも強い印象として記憶に残っている。

NODA・MAPはカーテンコールが複数回あるのが常だが、この時は野田が「家路を急ぐ方もいるから」とエクスキューズし、カーテンコールはたった1度だけ。空いた客席を示し「観に来ることができなかった人たちが、また演劇を観ることができますように」と言った瞬間、ここにいない人を感じた気がした。「見えないもの」を見せるのが演劇の魔法。公演が再開した日のチケット代は全額義援金として寄付され、公演中はロビーに募金箱が設置された。

※「劇場の灯を消してはいけない」https://www.nodamap.com/site/news/206

イベントの締めは2人の今後の予定について。岡田がアーティスティック・ディレクターを務める舞台芸術祭『秋の隕石2025東京』(10月1日から11月3日)をアナウンスし、野田からは2026年春に、芸劇で新作を上演、2028年秋より3年に1度、東京中の劇場を巻き込んだ国際演劇祭を開催するプランも明かされた。コロナ禍を経てやや停滞気味の演劇界だが、中心にいる2人が発信力を発揮し、今後とも大いに盛り上げていただきたい。

舞台芸術祭『秋の隕石2025東京』

名称:舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」
英語名称:Performing Arts Festival: Autumn Meteorite 2025 Tokyo
会期:2025年10月1日(水)〜11月3日(月・祝)
会場:東京芸術劇場、GLOBAL RING THEATRE〈池袋西口公園野外劇場〉

催:東京舞台芸術祭実行委員会〔東京都、東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)〕
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(国際芸術交流) )独立行政法人日本芸術文化振興会
協賛:アサヒグループジャパン株式会社
メディアパートナー:Tokyo Art Beat
協力:豊島区、西武鉄道
株式会社、東武鉄道株式会社
事業数:上演プログラム14演目、上演じゃないプログラム8事業、ウェルカム体制(=来場サポートのこと)3事業
※内容は予告なく変更する場合があります。予めご了承ください。

公式サイト:
https://autumnmeteorite.jp/ja

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