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言語を超えて伝わるEnjiの「歌」の深層に切り込む
ーEnjiさんの歌では、自分の身体を通じて感じた感情、目にしてきた風景が重要な要素になっているのでしょうか?
Enji:その通りです、そう感じてもらえて嬉しいです。私が作る曲はフィクションではなくて、実際に自分が経験したこと、感じたことがベースになっています。
作曲のきっかけはメロディーのこともありますし、匂いや香りから作り始めることもあって。私にとっては、自分自身の体験や感覚を記憶にとどめて歌として表現する、というような感覚です。
ー折坂さんは「Enjiさんの歌声にはいろいろな記憶や感覚が出汁のように溶け込んでいる」とも話していました。ジョアン・ジルベルトがそうであるように、Enjiさんの声にはさまざまな民族的な記憶やリズムの感覚が横たわっている、ということだと思うのですが、民族的なバックボーンを身体と声を通じて表現することに対して、どのように意識していますか。
Enji:複雑な質問ですね……まずシンプルに、音楽を通じて私は、自分が好きなことが表現できると感じています。モンゴルでの経験だけでなく、自分の人生経験すべてが音楽に反映されているのかなと。
私の音楽は、「モンゴルの民族音楽+ジャズ」みたいな感じで表現されることが多いんですけど、そうしたラベルに限らないんじゃないかなとも思っていて。私にとって自分の音楽は、私自身が今まで愛してきたもの、あるいは自らの経験を、そのまま自分の身体を通して表現したものだと思っています。
―面白いですね。Enjiさんの音楽はある意味、すごく個人的でもあるけれど、より普遍的な感覚に無意識的に接続しているというか。
Enji:あとは、一緒に演奏する人のパーソナリティーもすごく大切な要素です。例えば、『Ulaan』(2023年)にはブラジル音楽からの影響を感じられると思います。
そこには、ジョアナ・ケイロス(クラリネット)とマリア・ポルトガル(ドラム)というブラジル人の女性2人に参加してもらったことが関係しています。あのアルバムには素の私自身に加えて、ブラジル音楽の要素、そしてモンゴルの文化など、自分たちを構成するさまざまな要素がありのまま現れていると思います。
ー今回Enjiさんが出演する『FESTIVAL de FRUE』は、日本でもっとも先鋭的なフェスと言えるかと思います。ジョアナ・ケイロスも出ますし、初来日公演の機会でもあります。今、どんな思いですか?
Enji:すごくワクワクしてて、最近、周りの友達にも「私、日本に行くんだよ!」って言いふらしてます(笑)。『FESTIVAL de FRUE』のことを知っている友人もいて、「すごいフェスティバルだよ」と言ってました。
日本に行くのは長年の夢でしたし、絶対行きたい場所のひとつだったので、それが叶って本当に感謝しています。ジョアナと会うのも3年ぶりなので、すごく楽しみ。『FESTIVAL de FRUE』で自分の音楽を届けるのが待ち切れないです。


『FESTIVAL de FRUE 2025』

2025年11月1日(土)、2日(日)
会場:静岡県 つま恋リゾート彩の郷
2025年11月1日(土)出演者
[The Hall]
anaiis & Grupo Cosmo
Enji
DOGO
GEZAN
Herbert (DJ set) feat. Momoko live vocals
Nakibembe Embaire Group ft.Naoyuki Uchida
Solar
✷Grass Stage✷
AKIRAM EN
E.O.U
DJ Sotofett
7e
鏡民
2025年11月2日(日)出演者
[The Hall]
Les Claypool’s Bastard Jazz
CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN
Joana Queiroz & Manami Kakudo
Ohzora Kimishima – 君島大空(独奏)
Rubel
[Grass Stage]
ffan
Hugo Capablanca
MASCARAS
Powder
Yamarchy