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未来に向けて重要なのは「成長できるチャンスを与える」ということ
―いろんな国を見てきたYutoさんだからこその、日本の音楽シーンに対する危機意識は非常に考えさせられます。
Yuto:根本的な問題として、日本人が時代遅れになってきてる気がするんですよね。時代遅れの人がなにかをつくっても、それが古臭く聴こえるのは当たり前じゃないですか? 一昔前だと日本は先進国で、東南アジアは発展途上国だと思ってたかもしれないけど、いまはすごいスピードでどんどん変わっていってるわけで。カルチャーを輸出するっていうのはめちゃくちゃ繊細なことやと思ってて、やっぱり先を走ってないと、インスピレーションは与えられないと思うんです。

Yuto:国が先を走ってないと、先を走るアーティストも育たないから、いまの日本はどうなんやろうって、疑問に思ってるんですよね。音楽的には違う文脈があって、YOASOBIとかがやってることは逆にアメリカ人はできないと思うから、面白いと思う。そういう意味だとやっぱりアニメはすごくて、ずっと日本がリードしてきたけど、でもそれですら最近は変わってきていて。ホントに時代の流れが速いので……こればっかりは、なにが起きるかわからないですね。
―ジャパンカルチャーに憧れを持ってくれている人は世界中にいる。ただ、それがこの先もずっと続くかというとそれはわからないと。
Yuto:日本にも面白いアーティストはいっぱいいると思うんです。日本人は凝り性で、細かいから、楽器も上手いし。そういう土壌や気質はあるはずで、なにかがそこに加われば、面白いアーティストや音楽が湧いて出てくると思うんですけど……まずは「成長できるチャンスを与える」っていうことが一番大事だと思うんですよね。
才能がある人はいっぱいいるんだけど、才能ある人が途中でやめていっちゃう。それが問題。俺がなんで続けられてるのかっていうと、山崎さんをはじめ、活動をコントロールしてくれる人がいるからで、続けられると成長ができて、その先で面白い音楽が生まれる。そのチャンスをもっと多くの人が手にできるようになるといいなって。

Yuto:そう考えると、外に出て行こうとするんじゃなくて、逆に「渋谷の音楽ってなんやったっけ?」みたいな考え方のほうが、もしかしたら面白いのかもしれない。渋谷で面白いことをやってる人が、渋谷のなかだけで食っていける。渋谷のライブハウスに週一で出て、そこにちゃんと人が来て、それで生活していけるなら、そこで生み出されるものの方がちゃんと輸出に値するクオリティに近づくんちゃうかなって。世界をツアーして回るのって、やっぱりすごく大変なことではあるので。
―自分たちから外に行くだけじゃなくて、外から見に来てもらうっていう手もありますしね。
Yuto:そうそう、可能性はめちゃくちゃあるし、面白い時代だけど、ただ見えにくい時代なのもたしか。それでも先を見て面白いことをやっていれば、どこかで芽が出るんちゃうかなって。
The fin.はずっとそんな感じというか、亀さんみたいな感じで自分が信じてることをやり続けて、それを見つけてくれた人たちのところに少しずつ広がって、いまもそれが続いている状態で。そうやって持続力を持てるかは運の要素も必要やし、めっちゃ難しい話ですけど、でもそれをやり続けるしかないと思うんですよね。