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つらくても、立ち上がり続けてきた。新津由衣が石崎光と振り返る『傑作』までの物語

2024.4.12

新津由衣『傑作』

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つらくても、嘘のない状態で生きていたい。それが自分を救う術でもあった。

―アルバムのラストを飾る“暴露”はなかなかの問題作で……。

新津:前にアルバムの試聴会をやったときも、「この歌詞は事実なんでしょうか?」という質疑応答がありました(笑)。想像におまかせしたい部分ももちろんあるし、いろんな聴き方をしてもらいたい楽曲なんだけど、今回は「私が経験したものを全て作品に落とし込む」っていうのがテーマなので、これは私の人生そのままですね。

―<骨折して手術入院突然の婚約破棄>もすべてリアルだと。

新津:最初は骨折と手術だけ書いてたんですよ。でも光さんは婚約破棄のことも全部知った上で、私の人生がどん底だっていうことを目の当たりにしていたから、「いや、由衣ちゃんのどん底はそんなもんじゃないでしょ?」って(笑)。

石崎:そのどん底を皆さんに思い知らせてやるっていう、僕のちょっとした悪ふざけではあるんですけど(笑)、でもそこがわかってこそ、「アラフォーもつらいよね」っていう歌詞に共感してもらえるんじゃないかと思ったんです。

新津:でもやっぱりここまで言うのは勇気がいりましたけどね。まだギリギリ傷が癒え切ってないぐらいの状況だったので、「これ全部書くの? シンガーソングライターってつらい!」みたいに思ったけど(笑)、でも私は自分の人生と向き合って音楽を作るのがすごく好きで、きっとこれからもそのスタイルは変わらないだろうなと思ったので、この大トピックは言わないわけにはいかないぞっていうのはあって。それで勇気を出して書いたら、「実は私も婚約破棄されたことがあって」って教えてくれた人がいて、逆に私が励まされたりもして。こういうパーソナルな歌を作ったからこそ繋がり合えるファンの方にも出会えたりしましたね。

―そうやって自分の人生で起きた出来事を「暴露」しながら、それをミュージカル調の曲に乗せて、最後には<センキュー絶望!>と言い放つ、非常に力強い曲でもあります。

石崎:挑戦状でもあるような気がするっていうか、「私はここまで身を削ってるぞ。それがシンガーソングライターだぞ」みたいなことの表明にもなってて、それがすごくいいなと思うんですよね。

新津:シンガーソングライターにもいろんなスタイルがあって、私小説的に書くときもあるし、物語として書くときもある。でもどの切り口でもやっぱり私は嘘のない状態で生きていたいし、嘘のない音楽を届けるっていうことをしたいんですよね。音楽にはエンターテイメントの側面があるから、そこをカモフラージュすることでエンタメとして仕上がるものも多分にあるなとは思っているんだけど、その傍ら、私はそうではない音楽の届け方とか作り方に挑戦したいと思ってるところがある。それってすごくつらいんだけど、でも自分を救う術でもあって、自分の人生を切り取ることによって、勇気を持ってくれる方がいらっしゃるのかもしれないっていう望みが生まれたりもするんです。そうやって世の中との繋がりを持っていきたいと思ってるんですよね。

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