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ノイズに溺れずにサバイブしていく。「本当に必要な人とは、そのときのタイミングでちゃんと引き合う」(粉川)
―粉川さんはjizue脱退後に単独で東南アジアツアーを行ったりもしていますが、日本と海外という意味では、今後の活動についてはどう考えていますか?
粉川:言葉がない分やっぱり外には行きやすいので、海外はずっと見てますね。でもやっぱり日本が好きなので、なかなか出れないです。
Shing02:それは住むってことにおいて?
粉川:住むということにおいてはもう絶対に出られないですね。
Shing02:そこはこういう時代だしこだわる必要は全くなくて、まず作品に旅をしてもらって、自分が追いかけるスタイルでいいと思うんですよね。自分はたまたまNujabesと一緒に音楽を作って、いま世界中で同時多発的にトリビュートが行われていたりするので、そういうのもとっかかりにしたいと思いつつ、DJのA-1くんとは和モノのビートをずっと作ってたりもするので、いろんな見せ方があるとは思っていて。

Shing02:自分ももう50歳近くになって、「続けてきた」っていうのもひとつの強みかなとは思うので、そういうヒストリーを振り返ったり、若い人と一緒にやってみたり、いろんなパッケージの仕方がある。それも自然にそういうことになってるから、じゃあ乗っかっていこうという感じですね。こればっかりは、俺が無理くり企画してとかじゃないので。
―先日の『クランチロール・アニメアワード2024』でOMAとA-1と一緒に“battelcry”を披露したのも、『サムライチャンプルー』のテレビ放送20周年というタイミングだったわけですもんね。
Shing02:かっこいいことを言えば、それがどこであれ、自分が必要とされているところに行きたいっていう希望が常にあるので。自分のやってることがちょっと下火になったり、コロナで世界がふるいにかけられたり、いろんなことがあるわけですよ。そういった中で続けていけてるってことは、サバイブできてるってことじゃないですか。
日々の生活レベルでほどよい緊張感を保って、それを続けていけるかっていうのが課題だと思います。それがライターさんであれ写真家さんであれ、自分と関係ないノイズに溺れちゃうと、まずモチベーションが下がってくるじゃないですか。それをブロックするのもひとつの作業というか、タイミングが来たときに準備が整ってないと、出遅れちゃうわけで。逆に言えば、何もしてなくても、準備さえできてればパッと出ていける。その切り替えは大事だと思ってますね。というのも……今日は語らせていただきますが。
粉川:ぜひとも!

Shing02:裏を返すと、無駄な動きをしないことが大事だと思うんです。自分にとって、無駄な仕事や動きをしてると、準備がパっとできないんですよ。いろんなしがらみがあったり、自分の中で自己評価が落ちていったり。だから、ただひたすら何もしないのもひとつの手だと思う。「この仕事は俺がやらなくてもいいかな」って思ったらもうやらない。でも逆に「これは俺しかできない」と思ったら、どんなくだらないことでもやるし、どんな小さな仕事でも引き受ける。実は僕は何でも屋なので、頼まれたらグラフィックもやるし、コミュニティに教えに行ったりもするし、何でもします。本当にちっちゃな個人間のことでも、俺がやった方がいいかなっていうことだったら、全然やります。

粉川:すごくわかります。自分にとって必要ではないと思ったことを断った結果、孤立していく感覚もあるにはあるんですけど、でも本当に必要な人とは、そのときのタイミングでちゃんと引き合うので、それで全然いいのかなと思ってますね。
Shing02:それが最高じゃん。
―今回のソロアルバムに参加してる人たちも、それぞれのタイミングで出会った、必然性のある人たちばかりなんでしょうね。
粉川:そうですね。ありがたい限りです。