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磯崎新の追悼イベントに、なぜヒップホップや演劇界隈の人々が集うのか?

磯崎の追悼イベントである『磯崎新と祝祭の広場』は大分市の主催で行われ、同市でも活躍するDJ・ナリトライダーらにプロデュースが委ねられた。そしてナリトライダーは、仙台を拠点に活動するGAGLEのHUNGERや2020年代の若手ラッパーのなかでも注目株のSkaai、大分市で活動するケンチンミンや現在は熊本拠点で活動するポチョムキンらラッパー勢、大分でのスケートボード文化の発信を担う相原フランシスコ良和、日本人グラフィティライターの先駆者であるSnipe1、そして大分県内で活動するヒップホップを中心とした複数のダンススクールの生徒たち……と、ストリートカルチャーを構成する多様なジャンルのプレイヤーたちに声をかけた。
さらに、演劇の演出家である高山明、批評活動も行うラッパー・ダースレイダー、東京ヒップホップシーンの黎明期から現場と共に併走・言語化してきた文筆家の荏開津広など、ストリートと強く関わりを持ちつつ、しかし異端の精神も持ち合わせたユニークな顔ぶれも名を連ねた。
彼らは大分駅前に設置されたパブリックスペース「祝祭の広場」(正式名称は、「お部屋ラボ 祝祭の広場」)にステージやスケートパークなどを仮設して、追悼のための一日を大いに盛り上げた。Skaaiのライブに集まった10代から20代の若者たち、スケートボードやダンスに熱中する小学生ぐらいの子どもたちも爽快だ。



大分市出身で、市内にアートプラザ(旧 県立大分図書館)、豊の国情報ライブラリー、岩田学園など数々の作品を遺した磯崎を同市が追悼するのは自然な流れだが、興味深いことにそこに建築関係者の姿はほとんどない。その代わりではないにせよ、なぜヒップホップや演劇が強くフィーチャーされているのか? 理由は、この場所で過去に行われたとあるイベントにある。