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哲学的コントとダンス。島地保武と環ROYが新作『あいのて』を語る

2023.9.29

東京芸術祭

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「どうつくっているのか」をつくる作業

―本番がどうなっているか楽しみです(笑)。そもそも『ありか』のときは共通言語をもたないところから作品をつくりあげていったわけですが、おふたりの間での良し悪しの判断基準というか、ジャッジはどうしているんですか。

環:だいたいは島地さんが「こうしよう」と言って、僕が「いいね」と言っていることが多い気がします。

島地:そうですねえ……とはいえ稽古しているなかで、「あ、いまのはやりやすい」「いまの間(ま)はよかった」と会話で判断していくことも多いですね。

環:たしかに、そうした判断はすごく明確にありますね。そのやりとりを、長島さんが笑顔で見守っている(笑)。

島地:ふたりで進めていきながら、長島さんに度々「どうでした?」って聞いて相談するという。僕たちはどうしてもやる側だから、外から見たら、僕らが快適だと感じない動きや構成のほうが、実は面白い可能性もありますから。

―長島さんとしてはいかがですか。

長島:まさにおふたりが出演者で、外から見ての演出的判断ができない座組ではあるので、外から見たときにどう「見える」か、こういう意味にとれた、ということをおふたりにレスポンスしようと意識していますね。

⻑島確(ながしま かく)
専⾨はパフォーミングアーツにおけるドラマツルギー。⼤学院在学中、サミュエル・ベケットの後期散⽂作品を研究・翻訳するかたわら、字幕オペレーター、上演台本の翻訳者として演劇の現場に関わり始める。その後、⽇本におけるドラマトゥルクの草分けとして、演劇、ダンス、オペラからアートプロジェクトまでさまざまな集団創作の場に参加。2018〜20年フェスティバル/トーキョーディレクター、現在は東京芸術祭FTレーベルのプログラムディレクター。

島地:普通は演出家がいて決めていくことが多いですが、今回は本当にみんなでつくっているという感じですね。

環:いま僕たちに質問してもらっていることって、要するに「どうつくっているのか」ってことですよね。……謎ですよね、でも。

―はい、謎です(笑)。

環:俺も謎ですよ(笑)。言ってみれば、「『どうつくるのか』をつくっている」感じです。『ありか』のときは、まさにゼロから「どうつくるのかをつくる」ところからやらなきゃいけなかったから、本当に大変でした。今回も当初は、またそこからやるのか、正直ダルいなと思っていたところはあったんです(笑)。ふたりだけで喋っていてもなかなか広がらないし。

―『ありか』がひとつの到達点ではあったわけですよね。

環:『あいのて』初期段階の、さっきの名前について話し合っていた頃なんていうのは、ふたりで「うーん」と唸って無為に過ごしていました(笑)。そのときに唐津絵理さん(愛知県芸術劇場エグゼクティブプロデューサー / Dance Base Yokohamaアーティスティックディレクター)が、「こいつらだけじゃダメだ!」と思ったのか(笑)、長島さんを送り込んでくれたんです。長島さんが、「こういうのはどう? こういうのは?」って、いろいろと提案してくれたことで進んでいきました。

島地:ふたり芝居の戯曲を探したこともあったんですが、そのときも長島さんがいろいろと提案してくださって。

長島:芥川龍之介の『暗中問答』とか、サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』とか、E・T・A・ホフマンの『隅の窓』とかですね。僕は名前について取り組んでいた時期は立ち会っていないから全然知らなかったので、いまおふたりの話を聞いて、なぜ僕が投入されたのか初めてわかりました(笑)。

島地ハハハハハ!

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