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メジャーからアンダーグラウンドまで。タイのおすすめフェスを語る
野村:ライブができる場所を代替できるのはフェスかな? と思うんですが、コロナ禍以降、タイでフェスは復活していますか?
Ginn:コロナ前に比べると、数は減りました。タケノコのようにフェスが乱立した時期が2018〜19年ぐらいにあったんですが、それもだいぶなくなって。堅実にやっていたフェスが生き残った印象はあります。あとは、日本でも流行っているようなのですが、タイでもBLドラマがすごく流行っていて。その人気ドラマの俳優さんが出演するフェスが増えてきました。
野村:それは日本にはない文化ですね!
Ginn:とあるフェスでは、新たな客層を取り込むため、一時期からアイドルや俳優を数多くブッキングするようになりました。そのフェスは、以前は、まだ名も知られていないインディーズバンドのみを出演させるステージまで作ってインディーズを手厚く扱っていたのですが、数年前からそのステージを作らなくなったんですね。ああ、インディーズバンドが陽の目を見るチャンスがなくなっていくな、と残念な気持ちになりました。出演層が変わり、客層が変わり、フェスの雰囲気もだいぶ変わりました。
野村:逆に今でもタイのインディーズが堪能できるフェスはどういったものがあるんですか?
Ginn:一つは『Maho Rasop Festival』ですね。主にはタイ国外のアーティストがブッキングされるインターナショナル音楽フェスなのですが、タイのバンドもブッキングされています。このフェスにブッキングされるタイのインディーズバンドは、人気度や集客力よりも、世界で勝負できる実力を持ったアーティストがブッキングされている印象です。去年だとAlec OrachiやKIKI、DOGWHINEなどの若手実力派からDesktop ErrorやDeath of a Salesmanといったレジェンドクラスまで出演しています。今年はSoft Pine、Death of Heather、FORD TRIOといった旬な若手がブッキングされています。
Ginn:もう一つが『Post-Gazer』というフェスです。今年で6回目の開催なんですが、シューゲイザー、ポストロック、ハードコア、あとはエクスペリメンタルとか、メインストリームではない音楽を一挙に集めたフェスがあって。バンコクから車で2〜3時間ぐらいの地方都市でやっていて。タイのアンダーグラウンドで活動しているアーティストをいっぺんに知れるフェスです。