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バンコクのライブハウスとフェス事情。貧富の差が激しいタイならではの課題も

2023.8.8

#MUSIC

なぜ経営が続かない? バンコクのライブハウスを取り巻く事情

野村:「Blueprint Livehouse」が出来るまで、バンコクのライブハウスを取り巻く事情はどうだったんですか?

Ginn:今まで「日本風のライブハウスを作る!」と挑戦した人はいましたが、大体3年ぐらいでなくなることが多かったです。いろんな要因があるんですが、まず、そもそも毎日ライブハウスの稼働を埋められるほどバンドがいないんですよね。そうすると平日営業ができない。場所に関しても、土地のオーナーが契約更新してくれなくなったり、裏手に高級マンションが建つと警察を呼ばれることも多くなって、閉めざるを得なくなっちゃったりとか。そうすると、投資を回収する前に潰れる可能性が高くなる。「ライブハウスを作りたい。日本ではどのような仕組みで運営しているのか?」とタイの友人から相談されることもままあるのですが、実情を鑑みると、簡単に手は出せないんだと思います。

以前、「HARMONICA」というライブハウスがあったんですが、そこも3年程でなくなってしまって。ライブハウスがあった時代ごとに「このバンドはHARMONICA世代だね」とか、ライブハウスが時代を象徴する名前になるくらい希少なんですよ。

野村:出演したライブハウスの名前を出せば世代がわかるんですね。

Ginn:ですね。なので、これからはBlueprint Livehouse世代が出てくると思います。彼らは、巷に溢れるライブバーという形態ではなく、音楽を聴かせる場所として成り立たせようとしているので、なんとか長く続いてくれたらなと思ってます。

野村:ライブハウスがそれだけ少ないとなると、リハーサルスタジオはどうなんですか?

Ginn:バンコク内のリハスタでぱっと思いつくのが、4ヶ所、5ヶ所ぐらい。予約争奪戦です。これもさっきのライブハウス経営と同じで、バンドやミュージシャンの数が少ないから、リハスタも安定的な経営をするのが難しいんだろうなと思います。なんでミュージシャンが少ないかと言うと、楽器の値段が、タイの平均的な所得からすると高いんですよ。日本と同じか、日本より高いです。なのでそもそも、お金に余裕のある人しか楽器を持てないんですね。タイは貧富の差が世界トップクラスで激しいので。

野村:貧富の差が激しい場所ではヒップホップが流行するイメージもあります。今年に入って『Rolling Loud』(国際的なヒップホップフェス)が初のアジア進出ということで、タイで開催されていましたね。

Ginn:ですね! コロナ前ぐらいから、タイでもヒップホップが流行り始めました。日本でも名前が知られているMILLIが世界的に注目されて。タイからラップスターが出てきたので、シーンが盛り上がりました。さらにMILLIは、反体制的なことでも、自身の意見を物怖じせず表明するラッパーです。その昔はロックやパンクが反体制の象徴でしたが、ここタイでも、それはヒップホップに置き換わっています。

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