メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

みらん×忽那文香(ダウ90000) 高校で別れた幼馴染と驚きの再会

2023.7.21

#MUSIC

NiEWにて小原晩との交換日記『窓辺に頬杖つきながら』を連載しているシンガーソングライター、みらん。彼女が二人でゆっくり話したいと声をかけたのは、本多劇場での公演を大成功させ、飛ぶ鳥を落とす勢いという言葉がしっくりくる8人組「ダウ90000」の忽那文香。聞けば二人は幼馴染で、しかしお互いが歌ったりコントしたりしてるとは露知らず、つい最近驚きの再会を果たしたそう。

気心がしれているようで別の方角を向いているような。歩幅は違うのに同じスピードで進んでいるような。二人の冒険をこの対談で少しのぞいてみてください。

ずっと喋ってるみらん。黙々と跳ぶ忽那。

ーお二人がはじめて会ったのはいつ頃ですか?

みらん:小学校が一緒だったんですよ。私は5年生で引っ越してきて。

忽那:私は6年生のときに転入して。お互い存在は知ってたけど、クラスは違ったよね。私は1組で、みらんは5組。

みらん:中学になっても、1学年9クラスもあったから同じクラスになったことはなくて。二人とも陸上部に入って、そこからほぼ毎日一緒にいるようになりました。1年生で走り幅跳びやってたのが、私たちだけだったんだよね。でも、大会に出られる枠が決まってて、先輩が優先だし、忽那のほうがいい記録だったから私は円盤投げに変えたんです。

忽那:みらんは円盤投げのイメージだね。すごい飛ばすんですよ!(笑)

みらん:県大会に出れたくらいね。

忽那も幅跳びで県大会出たよね?

忽那:私は1cm足りなかったんだ。

みらん:そうか、惜しかったんだ。忽那は部長にもなったんですよ。

忽那:なんかノリで(笑)。

みらん:真面目なのが忽那しかいなかったもんね。

忽那:みらんがずっと横で「こうしたほうがいいよ!」って言ってくれる感じでした。

(写真左から)みらん、忽那文香

みらん:私はもう、どこにいても目立ちたがり屋。口には出さなかったけど心の中でヒソヒソと、部長になりたいと思ってたんですよ。

忽那:え、そうだったの? 今知った。

みらん:とにかく人の上に立ちたい、みたいな。なったらなったで絶対ダルくなるのはわかってるんですけど(笑)。部長は投票で決めてたから、全然真面目に練習してなかった私には無理だなって。円盤投げは走りもしないし、あんまり練習することがないんですよ。

忽那:幅跳びの砂場の横でずっとわちゃわちゃしてたよね。

みらん:忽那の幅跳びの記録を測ったりしてた。

忽那:みらんがずっと喋ってるのを横目に走って跳んでました(笑)。

ーその光景が目に浮かんできそうです。陸上部に入ってすぐに仲良くなったんですか?

みらん:最初、走り幅跳びで一緒だったから仲良くなって、家も近くて一緒に行き帰りするようになりました。

中学2年生の夏休みには二人っきりで、四国にある私の親戚の家に旅行したんです。4泊くらいだったかな。

忽那:みらんがめっちゃ高い崖から四万十川に飛び込むんですよ! 私は怖くて見てるだけだったな。

みらん:私はアクティブだからね。

頑張ってる忽那を見て、ボロボロ泣いた

みらん:忽那はこういう感じだったから、高校で離れ離れになったけど、その後は普通の高校生活を送って大学にいって就職してると思ってた。ステージに立つようなタイプだと思ってなかったから、テレビでABC(お笑いグランプリ)の決勝見てたらいきなり出てきてびっくりしちゃって。

ーそれ以前もダウ90000はご存知でしたか?

みらん:名前は目にしてたと思うんですけど、ちゃんと見たことはなくて。ネタの前に写真が映って、「ん?」と思ったんです。忽那の顔が全く変わってなかったから(笑)。コントがはじまって、忽那が舞台の真ん中で大きい声を出しただけで涙が出てきちゃったんですよ。絶対緊張してるだろうに、頑張ってるなって。

忽那:泣いてくれたって聞いてめちゃくちゃうれしかった。「嘘だろ!?」って思った(笑)。

みらん:面白いと思う前にボロボロ泣いちゃった(笑)。でも、忽那は中学生のときから演技をやりたかったらしいんですよ。ずっと放課後一緒にいたのに、全くその想いがにじみ出ても来なかったね。

忽那文香(くつな あやか)
1999年4月10日生まれ、兵庫県出身。日本大学芸術学部卒業。2020年結成以降、演劇やコントで注目を集める8人組「ダウ90000」のメンバー。愛くるしい独特なキャラクターはメンバー内でも異彩を放つ。2021年M1グランプリでは準々決勝進出。2022年2023年ABCお笑いグランプリ決勝進出。
忽那文香Twitter / ダウ90000Twitter     

忽那:小学3年生くらいのときにTVドラマを見て、「なんて楽しそうなんだろう」と思ったんです。ドラマ自体よりも、演技してる役者さんがキラキラして楽しそうだったんですよね。「これをやりたい」と思ってたけど、中学は部活を中心に生活してたから。

みらん:それで知ってる人が行かない高校を選んだんでしょ? 誰も知らない環境を作って演技をはじめたんだよね。

忽那:自信がなくて「演技がやりたい」って言えなかっただけなんです。

みらん:中学生っぽいな。

忽那:そうそう、中学生っぽい。

みらん:連絡先も知らなかったもんね?

忽那:高校のときにそれまでの連絡先を一回全部消したんです(笑)。LINEも変えたし。

みらん:SNSも繋がってなかったから、連絡するすべがなかった(笑)。

忽那:私は『愛なのに』っていう映画を観にいったら、エンディングで主題歌が流れているときに「なんか聴いたことある声だな」と思って。調べたらみらんの曲だったんです。もう鳥肌立っちゃって! だけどめちゃくちゃ久しぶりだし、連絡しようかどうか迷ってたんですよ。

みらん:そのうちにダウがABC出たから、私がSNS調べてDM送ったのが先になったんだよね(笑)。でも、声だけでわかるのすごくない?

忽那:みらんが歌上手かったことはすごく覚えてるから。カラオケで歌ってくれたりとか。

みらん:一緒にカラオケ行った記憶ないんだよなー(笑)。

ーもうその頃から作曲していたんですか?

みらん:まだですね。中学生のときはK-POPにハマってたんで、ずっと踊ったり歌ったりしてるだけで。

みらん
1999年生まれのシンガーソングライター。包容力のある歌声と可憐さと鋭さが共存したソングライティングが魅力。2022年3月に、映画『愛なのに』の主題歌「低い飛行機」(プロデューサー:曽我部恵一)を含む2ndアルバム『Ducky』をリリース。23年3月に新曲「好きなように」をリリース。(Twitter

忽那:歌上手いとは思ってたけど、ミュージシャンを目指してるとは思ってなかった。

みらん:藤原さくらさんや竹原ピストルさんを見て、自分で曲を作ってみたいなと思ったのが高校2年生くらいだったから。保育士になりたくて大学に行って資格を取ろうと思ってたんですけど、進路を決めるギリギリでやっぱり音楽を捨てられないと思ったんです。親からは「資格取ってから音楽やればいいじゃないか」って言われたけど、今やりたいことを私は我慢できない。忽那は就職しようとか思った?

忽那:ダウになる前は服屋さんになろうかなとは思ってた。でも、高校ではじめてお芝居やったときに「あ、これだ!」と思ったし、めっちゃ楽しくて。それを今もずっとやってる感じ。

みらん:私も「聴いてくれる人のため」よりも、自分がステージに立つと楽しいっていうのが一番大きいな。

みらんのかっこいい話していいですか?

みらん:連絡を取り合うようになって、去年の12月に忽那がライブを観に来てくれたんです。その後に二人で飲みに行って仕事の話をいっぱいして。

忽那:「今どんなことしてるの?」っていう話を。不思議な感じだったね。

みらん:私は18歳くらいから音楽をやり始めたから、知り合う人がほとんど年上ばっかりで。だから忽那といると昔の感覚を取り戻すっていうか、「こういう感じだったな、私は」って。

忽那:そうだね。中学のあの感じを思い出す。

みらん:こういう仕事をしていると、いろんな憧れの人に会う機会も多いんです。実際に会うとイメージ通りキラキラしてる人もいるけど、苦労しながら隠すところ隠して表舞台に立ってるような人に出会えるほうが、私はめっちゃ力もらえるんですね。この感覚を、忽那と共有できたんですよ。

忽那:うん、なんかうれしかった(笑)。(ダウの)メンバーとはこういう話をしないし、新鮮でしたね。音楽のことを交えて喋ってくれるから、お笑いをやっている人とは角度が違うし。でも、話はわかるから、共通する部分があるんだなって。

みらん:毎日どうやって起きて、モチベーション上げて頑張るかみたいな、日常的な悩みとか、「これがしんどいよね」っていうのは共通するよね。「すぐ肌荒れちゃうよね」とか。

忽那:中学のとき、みらんに石鹸もらったの覚えてるよ。

みらん:なにそれ? そんな気持ち悪いことした?(笑)

忽那:たぶんお母さんが作ったやつだったと思う(笑)。その頃から美容のことはみらんに聞いてました。

みらん:芸能界って不規則で忙しいのに、なんであんなに綺麗な人がいるんだろうね。

忽那:ほんとだねー。

みらん:こういう話をできる友達が、音楽とは別の場所にいてくれるのめっちゃ助かる。

忽那:みらんのかっこいい話、してもいいですか?

ーぜひお願いします。

忽那:ついこの間みらんが上京してきたんですけど、「明日上京するから家に来ない?」って誘ってくれたんですよ。「まだ何もないけど、よければ遊びにおいで」って。引越し初日だから何もないだろうけど、それでも布団とかテーブルとか何かしらあるじゃないですか。家に行ったら、本当に何もないんですよ!

みらん:ギターとスーツケースだけで上京したから(笑)。

忽那:それがすごくみらんらしくて、かっこよかったんですよね。

みらん:私も驚いたのは、その日がものすごい雨だったんですよ。大雨警報も出てたくらいだから、もう来ないだろうと思ってたら「行く気満々だけど」って。

忽那:上京1日目に呼んでくれたんだから! そんなめでたい日に私を選んでくれたなんて、こんなに嬉しいことはないよ!

みらん:ずぶ濡れで来てくれたね。

忽那:キャリーケースの上でご飯食べたね。なんにもないから、ずっと壁を見ながら(笑)。

ダウ90000に歌をプレゼントしたい

忽那:みらんのライブをはじめて観たとき、弾き語りだから一人で全部仕切ってて。その場のお客さんの空気を読みながら、とても素敵な場所を作ってたんです。曲が終わっても一人でずっと喋ってるから、「司会はいないの!?」と思いました(笑)。

みらん:司会がいたら、けっこう負担減るかも(笑)。歌うよりも、どうやって喋って和ませるかが私には難しい。

ー幼馴染にライブを観られるのって気恥ずかしいものですか?

みらん:全然です。歌うよりも恥ずかしい思春期を共有してるから。元々、誰に対しても恥ずかしいっていう感覚は薄いですね。

忽那:こないだの『やついフェス』に、同じ日に出演したからみらんがダウを観に来てくれたんですけど、私はちょっと恥ずかしかった(笑)。でも、面白いって笑ってくれたからうれしかったです。

みらん:もうABCのときみたいに泣きはしないけど、ハラハラした。

忽那:お母さんみたい(笑)。

みらん:出番が短かったから、次は単独ライブ観に行きたいですね。ハラハラしすぎて疲れるかもしれないけど。

忽那:緊張するからみらんが来てることは私に伝えないでほしいです(笑)。

みらん:忽那は今は8人でやってるけど、この先は一人でもやりたいっていう思いはあるの?

忽那:そうだね、個々がいろんなところでも活躍できるようになったらいいなと思う。

みらん:私は一人からはじまって、今はバンドになってるから逆なんだね。

忽那:最近、私が普通に聴いてる人とみらんが対バンしてるからすごいなと思うよ。

みらん:それでいうと、この前のダウのライブを星野源が観にいったんでしょ? それもすげー。

忽那:音楽とお笑いでぜんぜん違うけど、やっぱりどこかで繋がってるんだよね。

みらん:『やついフェス』もそうだしね。最近、ミュージシャンと芸人さんの2マンも増えた気がする。

忽那:AマッソさんとKID FRESINOさんの2マン観に行った! 本当にかっこよかった。KID FRESINOさんもコントやったんだよ。笑いもあるし、お客さんが音楽にのる瞬間もあるし。

みらん:ダウの舞台に混ざってる私を想像したけど、てんやわんやでコントどころじゃないと思う(笑)。

忽那:普段のみらんのままで出ればいいんだよ。

みらん:やってみたいけどね。

忽那:蓮見さんは書くよ。

みらん:蓮見さんは書けるだろうけど……。ダウは単独ライブごとにいろんなアーティストが主題歌を担当してるから、それは私もやってみたいですね。高校のときに友達の誕生日に歌をプレゼントしたことがあるから、そういう感じでやりたい。

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS