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これからの10年で目指したいのは、「映画音楽の人」になること
─光栄です(笑)。このアルバムもDolby Atmosミックスを施したそうですが、その際にどんなところにこだわりましたか?
江﨑:楽器編成がシンプルな楽曲は、目の前で演奏しているかのような臨場感を演出できるように工夫しました。逆に“果敢無い光線”や“朝日のぬくもり”のように、とにかく音数が多い楽曲の場合は、そういった音を空間に散らすことで、ある種アトラクション的な音響の面白さみたいなものも提示できたらいいなと。Dolby Atmosミックスに関しては、そういう意味ではかなりエンターテイメントな仕上がりになっています。
─今後もソロ作品は作り続けていく予定ですか?
江﨑:すでに新しい作品を作りたいモードに入っています。具体的にはピアノの作品集を出したくて。今回はみんなで楽しむことを前提にしない曲をたくさん作ったんですけど、特定の人や環境、時間に向けて、みたいな限定された対象に向けての作品作りをもっとやりたいという気持ちが大きいです。もちろん、これまでにも企業CMなどを請け負ってきましたが、もっともっと寄り添った、何かに捧げる作品を作ってみたい。むしろそっちの方が向いているのかもしれないです。そういう意味では映画のサントラなど、劇伴はやりたいことの最上位にある。これから10年くらいかけて、「あの人、映画音楽の人だよね」と言われても構わないくらい、その領域の仕事がしてみたいです。
それに、バンドの良さを再認識する瞬間もたくさんありましたね。ソロは全てのジャッジを自分でやらなければならないわけじゃないですか。当たり前ですが、いろんなミュージシャンの意見を聞きながら進んでいくことの楽しさも再認識しました。これまで自分がどれほど恵まれた環境に置かれていたのか、当たり前すぎてそのあり方に気づけていなかったなと。ソロとバンド、これからも行き来しながらいい作品を作っていきたいです。