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文化的な価値は絶対お金なんかじゃ測れない。(後藤)
tami:今、後藤さんは若手ミュージシャンのためのスタジオ開業準備をされているんですよね。その一環で、私が経営しているスタジオ「Hidden Place」にも見学に来てくださって。
後藤:はい。日本でスタジオ文化がだんだん先細っていっているのを感じていて、なんとかしたいなという気持ちがあって。スタジオで録音するとなると、特にドラムを録るのにかなりお金がかかるから、なかなかインディーの人たちがそこにアクセスできない。一方で、いいスタジオが経済的な理由でどんどん潰れていったりもしていて。

tami:お金って、なかったら間違いなく困るんですけど、その価値って刹那的ですよね。文化的な価値と比べて、お金の価値は結局あとに何も残らないというか。

後藤:本当にそうなんですよね。一日スタジオを借りるのにいくらっていう値段がついてますけど、でもそこで達成できることってその金銭に替えられない。この素晴らしいドラムが録れた今日一日のことを、お金に換算できますかって言ったらできない。でも潰れるときはお金の話が全てで、その文化的な価値の方は加算されないんですよね。


tami:スタジオって「高い」って言われがちですけど、ほんとに儲からないんですよ(笑)。
後藤:儲からないですよね。でも、その中でどうやったらインディーのミュージシャンが工夫して勝てる場所を作れるかをずっと考えていて、NPO法人としてスタジオを運営していくことも検討しています。文化的な価値は絶対お金なんかじゃ測れないんですけど、でもやっぱり何をやるにしてもお金が迫ってくるので、その障壁をどうやって外していけるかが課題ですね。