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音楽をやる上で何を大切にするかっていうのをしっかり持っていないといけない時代になった。(tami)
tami:その頃(2000年前後)って、別の仕事をしながら音楽をやる人って今よりかなり少なかったと思うんですよ。今は自分たちでいろんなことができて、「早く見つけてもらってデビューしなきゃ続けられない」っていう状況じゃないから、仕事しながら音楽やる人が増えたんじゃないかな。
でも、CDデビューっていう大きな共通の目標がなくなったからこそ、自分が音楽をやる上で何を大切にするかっていうのをしっかり持っていないといけない時代になったんだろうなとも思います。音源流通を簡単にできるようになったからこそ、そういう意思がしっかりないと、なんとなく「やった感」で終わってしまう。どういう人に聴いてもらいたいかとか、どういう自分でいたいかとか、考える選択肢が増えて、それって贅沢なようにも見えるんだけど、苦しいところでもあるんですよね。

2018年にTAMIWを結成。19年には20公演のアメリカツアーを敢行。21年には『FUJI ROCK FESTIVAL ROOKIE A GO GO』への選出などでも話題となり、23年2月に3rdアルバム『Fight for Innocence』をリリース。大阪・堺にあるお寺で、音楽スタジオ「Hidden Place」とペット霊園を経営。
後藤:なんとなく形になるところまではみんないけるから、どうやったら抜きん出るかっていうのは難しくなってますよね。だから、これからは「どうして音楽をやりたいか」っていう理由が強烈にないと、やってもしょうがなくなってくるのかもしれない。
tami:こだわりを持っている人ほど、今はハッピーなんじゃないかと思います。まあ、それで大枚を稼ぎたいとかってなると違うと思うんですけど。
後藤:たしかにそう。お金を稼げたかどうかが、ハッピー、アンハッピーの物差しになっちゃうとつらいですよね。売れるために音楽をやってる人って、結局売れなくなったらやめるわけじゃないですか。それだと、音楽をやっているのか、何をやっているのかよく分からない。僕たちにとっては音楽が手段じゃなくて目的だから、稼げないからやめるってわけにはいかないんですよ。その思いが根っこにあった上で、それが仕事になるならこれ以上幸せなことはないなとはやっぱり思ってますけどね。
