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「サブカルチャーは必然的に、メインストリームに吸収され、その影となる」
本作のプレス資料の中で、ニコルズは以下のように語っている。
「一部のアウトサイダーはサブカルチャーに惹かれ、そこで面白いことが起こる。サブカルチャーは新しい芸術が生まれる場所だ。そして必然的に、そうしたサブカルチャーはメインストリームに吸収され、その影となる」

ニコルズは、サブカルチャーにまつわるこうしたサイクルを、自身が若かりし頃に体験したパンクロックのコミュニティに重ね合わせることで、そこに普遍的なリアリズムを感じ取ったのだという。
つまり、本作『ザ・バイクライダーズ』は、バイカークラブという特異な集団を題材としたドキュメント調の映画であるという以上に、あらゆるサブカルチャー運動に伴う宿命的な構造と、コミュニティの変質と時代の移り変わりの中に去来する様々な人間の姿を、綿密な考証に基づいた筆致によって描きだした、文字通り普遍的なテーマを扱った作品といえるだろう。様々なポップソングの使用にも、彼のそうした気概と、(この原稿を書いている私や、この記事を最後まで読んでくれたあなたのように、いわゆる「サブカル」とは異なる)ある種の「サブカルチャー」を奉じてやまない人々が織りなす営みへの深いシンパシーが、はっきりと滲んでいるのである。
『ザ・バイクライダーズ』

2024年11月29日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、ホワイトシネクイントほか全国ロードショー
『ザ・バイクライダーズ』
監督・脚本:ジェフ・ニコルズ
出演:オースティン・バトラー、ジョディ・カマー、トム・ハーディほか
配給:パルコ ユニバーサル映画
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