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二人の出会いは会社員時代
オカヤ:玉置さんとは長い付き合いですけど、ふつうのごはんを作って食べてもらうのは今日がはじめてかもしれないですね。
玉置:オカヤさんと知り合ったのはものすごい前で、オカヤさんが25、6のときじゃない?
オカヤ:はい。私がウェブの制作会社でデザイナーとして働いていて。
玉置:その頃僕は勤めていたウェブの制作会社を辞めて、フリーのディレクターになったタイミングで、オカヤさんが勤めていた会社に手伝いで入ったりしていたんですよね。
オカヤ:一緒に、わりと硬い仕事をやってましたよね。二人で打ち合わせに行ったり。玉置さんはその頃から『デイリーポータルZ』に記事を書いてました?
玉置:そうだね。その頃、オカヤさんがプライベートで描いてるイラストを見せてもらって。「この人はいますぐこっちで食っていけそうなのに、なんで商業デザインをやってるんだろう?」って思ったのがすごく印象的です。
オカヤ:お互いに「この人はなんでこの仕事を……?」と思ってた感じですね。
玉置:オカヤさんは、そこからどうやって漫画家になったの?
オカヤ:当時、『コミティア』(*)に出店している作家に、編集者が声をかけてまわることが多かったんですよ。ある程度作風が固まってるし、そこで才能を見つける方が応募を待つより早い、みたいな。ウェブメディアがたくさん出来てきた時期で、作家が足りていなかったのかもしれないです。それで、声をかけてもらって、ウェブマガジンに漫画が載ったのが最初ですね。
*コミティア:1984年から開催されている、自主制作漫画の展示即売会。二次創作も多いコミックマーケット(コミケ)と異なり、出品できるのはオリジナル作品のみに限定されている。
玉置:賞に応募してデビューするとか、自分から編集部に持ち込むみたいなイメージですけど、そうじゃないんですね。
オカヤ:それが王道ですよね。私の場合、イラストレーターの仕事もしていたから、そんなに「漫画を成功させなきゃ! 売れないと生活できない!」みたいな感じでもなかったんですよ。いまでも、なんとなく来月の収入があればいい、みたいな感じでずっとやってます。
玉置:オカヤさんは昔から、焦った感じがしない人ですよね。
オカヤ:というか、本当に先の見通しができない人間なんです。わからないことは考えない、見えないものはない、みたいな。おそろしいことに。玉置さんは意外ときちっとしてますよね。料理のときもちゃんと計量するし。
玉置:ああ、それは製麺のときだけですね。製麺はお菓子作りと一緒で、例えば加水率が1%違うとぜんぜん違っちゃうんです。
