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Wigan Casinoで生まれたノーザンソウル
ではなぜマンチェスターでパーティーが盛り上がったのか。当たり前のことだけど、まずイングランド北部の人たちは本当にパーティーと音楽を愛していて、その度合いは僕らの想像を超えている。そういう人たちが作ってきたシーンのルーツが、Wigan Casinoというクラブだ。The Verveの出身地ウィガン――マンチェスターとリバプールに挟まれたこの土地で1967年にスタートしたWigan Casinoでプレイされたアメリカのソウルやファンク、ディスコなどが「ノーザンソウル」と呼ばれ、広まってゆく。1960年代後半のモッズカルチャーと強く結びつき、ピークの1970年代前半にはイギリス中から人が集まったという。これは1980年代にハシエンダに通うためにマンチェスター大学の受験者が増えたり(The Chemical Brothersがまさにそうだった)、1990年代にリバプールのスーパークラブcreamに通うためにリバプール大学の受験生が激増した現象と同じだろう。