気鋭クィアアーティストとして活躍するAisho Nakajima。時計の針は午後9時を指し、池袋のネオン街に遜色することなく唯一無双に煌めく。今年4月に「Made Him Cry」リリースしたAishoはなぜ、歌い続けるのか。インスピレーションや原動力、今後の展望など13の質問で掘り下げていく。
9歳までホームスクールで育つ
9歳の時にホームスクールから小学校に通い始めました。両親共に日本人だけど、ホームスクールでは英語で育てられたので、学校で初めて日本語を学びました。学校に行き始めて、当たり前の集団行動とかソーシャルスキルがわからなくて嫌な思いもしたけど、ホームスクールのおかげで今、英語が喋れて英語の歌詞を書くことができてます。

1997年生まれ。シンガーソングライター。高校を卒業後、オーストラリアに移住。帰国後、東京を拠点に音楽活動を始め、2020年にデビュー。2024年4月にはニューシングル「Made him cry」をリリース。
音楽との出会いはマライア・キャリーとセリーヌ・ディオン
小さい頃はクリスチャンミュージック、マライア・キャリーとセリーヌ・ディオンしか知らなかったです。マライア・キャリーとセリーヌ・ディオンの曲を聴いた時は「音楽ってすげえな」って本当に衝撃的だった。小学5年生くらいからアヴリル・ラヴィーンの曲も聴くようになりました。
自分を愛すのに時間がかかった
中学生の頃、クィアが全然周りにいなかったというか、存在を知らなかった。テレビを見てても「J-POP」だったり、型にハマったジャンルに絞られててエンタメに入るにはそうならないといけないみたいな風潮が垣間見れるのが嫌だった。だから、「自分みたいな人なんて」って思ってた。自分みたいな人なんて、一生隠さないといけないんだなって。その時にクィアの人を知っていれば、当時の俺の考えも絶対に変わってた。自分も好きなことやっていいんだってもっと早くに思えてた。自分のことを愛すのに時間がすっごいかかったから、今歌ってるのは、その時の自分のためでもある。その時の自分が見たかったもの、聴きたかったものを作ってる。

曲は生き方そのもの
Fifth HarmonyとかLittle Mix、K-POPのガールズグループがめちゃめちゃ好き。ガールズグループって絶対にダンスがあるからそこが良い。ダンスミュージックを作り始めた理由は、ダンスがしたいからだった。歌って声だけじゃなくて、踊ってパフォーマンスするみたいなショーを作りたいって思ってました。でも、ショーはダンスミュージックだけじゃ出来上がらない。だからバラードもあって、激しいものもあって、ダンスもあって、いろんな感情を一つのショーに入れ込みたい。

直感を大事にしてる
クリエイティブなことをするのが昔から好き。「これ作りたい!」って思ったら作るしかなくない? みたいな。直感を大事にしてて、思い立ったらすぐに行動する。直感が奮い立たせてくれる。
自分らしくいるためには
日々生きてて、嬉しい時、イライラしてる時、喜怒哀楽全ての感情から自分らしさを感じてます。歌詞を書いてる時やレコーディングをしてる最中もそうだし、音楽やMV、何かを制作してる時も作っているプロセスの時でも。

Aisho流メンタルヘルスの整え方
何も考えなくていい、寝る時と食べる時が幸せ。

カミングアウトが必要だとは思わない
俺はずっと自分に嘘ついてるって思ってました。本当にもう限界で17歳の時にカミングアウトをしたけど、カミングアウトが必要だとは思わない。今の社会では、カミングアウトをするかしないかの選択肢で「する」っていうのは少ないと思う。高校生の頃とか、友達が恋愛の話をする度に自分は怖くて、その話題が話せなくてストレスだった。だけど、それをストレスだって感じない人もいると思うし、カミングアウトしたくなかったらしなくていいはず。したいのにできないっていう、その辛さもわかってるから。セクシュアリティって一つじゃないんだよって、LGBTQ+がもっと認知されて、そもそも「カミングアウト」の概念がなくなればいいな。

いつか他のクィアアーティストとコラボしたい
クィアアイコンってよく言ってもらえるけど、他にクィアのアーティストがいないからそう言ってもらえてると思ってます。もっと他のクィアにも出てきてほしいし、いつかそういうアーティストとコラボレーションもしてみたい。