ゲルハルト・リヒターとスティーブ・ライヒのコラボレーション作品“Moving Picture (946-3) Reich/Richter”が、11月6日(金)、7日(土)、草月ホールにて日本初演を迎える。
スティーブ・ライヒは1936年生まれ。ミニマルミュージックの代表的な作曲家として知られ、反復とそのズレをひとつの重要なキーとしたその音楽の手法は、テクノやダンスミュージックに大きな影響を与えた。シリアスミュージック(いわゆる現代クラシック)に馴染みの薄いポップミュージックリスナーからも愛好されており、日本でも人気が高い作曲家だ。
ゲルハルト・リヒターは、写真をぼやけた絵画にトレースするフォトペインティングや、抽象絵画で知られる現代美術家だ。1932年、ドイツに生まれたリヒターは、ナチス政権下から共産主義下の東ドイツ、ベルリンの壁崩壊を経験してきた。「資本主義リアリズム」と称した批評性を含むポップアートで注目を集め、ナチズム、ホロコーストや9.11同時多発テロ、リチャード・スペック事件(1966年の看護学生大量殺人)といった主題をたびたび作品化してきた。2022年に東京国立近代美術館で開催された大回顧展も記憶に新しい。
今回上演されるのは、リヒターが映画監督のコリーナ・ベルツと共同で制作した映像作品『Moving Picture (946-3)』に、ライヒが音楽を作曲したものだ。2019年にニューヨークで世界初演された、リヒター87歳、ライヒ82歳当時の作品ということになる。なお二人は現在も存命で、90歳を超えたいまも精力的に作品を発表している。
2025年にデンマークのAthelas Sinfonietta Copenhagenの演奏で上演された際の一部分を、以下の動画で見ることができる。
今日のダンスミュージックのVJのように、ジャストなタイミングで同期するようなものではなく、ライヒのシグネチャーとも言える反復による拡張と収縮が、映像の変化にゆるやかに呼応していくようなイメージを確認することができる。
同公演のチケットはすでに完売しており、いまのところ幸運な参加者だけしかこの映像と音楽を同時に体験することは叶わない。しかし楽曲のみであれば、2022年にCD / レコード化されており、Bandcampでも聴くことができる(Ensemble Intercontemporainの演奏で、Nonesuch(国内盤はワーナーミュージック・ジャパン)から発売されている)。
『Reich/Richter』
https://stevereich.bandcamp.com/album/reich-richter
I: Opening、II: Patterns & Scales、III: Cross Fades、IV: Endingの4つの楽章から成っており、そのネーミングからも映像とどのように呼応するのか少しだけイメージできそうだ。チケットを入手できなかった方は、楽曲を聴きながら上演の様子を想像してみてはいかがだろうか。
なお同公演では韓国の作曲家イ・ハヌリの“stuff #3”(2025年)、武満徹の“雨の樹”(1981年)も合わせて演奏されるという。そちらにも注目したい。
『No Centre 1|Moving Picture (946-3) Reich/Richter』
主催・企画制作:一般社団法人 No Centre
公演日時:2026 年 11 月 6 日(金)午後7:00、11 月 7 日(土)午後3:00
場所:草月ホール(草月会館 〒107-8505 東京都港区赤坂 7-2-21)
料金:全席指定¥8,000(税込) ※完売
出演:アンサンブル・ノマド
※本公演出演メンバー:佐藤紀雄(指揮/ギター)/木ノ脇道元(フルート)/菊地秀夫(クラリネット)/花田和加子(バイオリン)/甲斐史子(ビオラ)/佐藤洋嗣(コントラバス)/稲垣聡 (ピアノ)
ゲスト演奏家:菊地奏絵(2nd フルート)、林憲秀(1st オーボエ)、上條晴翔(2nd オーボエ)、内山ちまり(2nd クラリネット)、荒木優子(2nd バイオリン)、海野幹雄(チェロ)、細野幸一(打楽器)、戸崎可梨(打楽器)、大瀧拓哉(2nd ピアノ)、青栁はる夏(打楽器)