千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館が、2025年1月下旬から休館することが発表された。
1990年に開館し、印刷インキなどで知られるDIC株式会社が関連企業とともに20世紀美術に主眼を置いたコレクションを収集 / 公開する同美術館。モネ『睡蓮』やシャガール『赤い太陽』など754点にのぼるコレクション、作品にふさわしい空間づくりを目指した建築、四季折々の変化が楽しめる自然環境の三要素が調和した施設であることが特徴となっている。
しかし、2024年6月末時点の簿価ベースで総額112億円となる保有資産の観点から見た場合、資本効率という側面から必ずしも有効活用されていないとして、社外取締役のみで構成された「価値共創委員会」での審議が2024年4月から7月まで続いていた。同社は委員会からの助言提出を受け、取締役会で協議。8月27日(火)に美術館運営の対応についての中間報告がアナウンスされた。
中間報告では、美術館運営並びに美術品を会社発展の歴史を象徴するコーポレートアイデンティティの一部であることに触れながら、美術館運営を継続する意義を明確化。伴って、運営効率化のために規模を縮小して東京への移転を想定した「ダウンサイズ&リロケーション」を具体的なオプションとして検討し、2024年12月までに結論づけることを発表。その検討にあたっては美術館運営中止の可能性も排除せず、結論決定後速やかに実行するため2025年1月下旬から美術館が一時休館することとなった。また、コレクションの中からDIC株式会社が保有する384点の取り扱いについても、運営の詳細検討と併せて検討されることがアナウンスされている。
美術館の具体的な休館日程については、決まり次第DIC株式会社と美術館のウェブサイトで告知される。なお、9月14日(土)から2025年1月26日(日)までは、企画展『西川勝人 静寂の響き』が開催される予定となっている。
『西川勝人 静寂の響き』
2024年9月14日(土) - 2025年1月26日(日)
時間:
9:30-17:00(入館は16:30まで)
休館日:
月曜(ただし祝日の場合は開館)、9月17日(火)、9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)、12月24日(火)-1月1日(水)、1月14日(火)
主催:
DIC株式会社
後援:
千葉県、千葉県教育委員会、佐倉市、佐倉市教育委員会
会期中のコレクション展示
コレクションViewpoint
「追悼 桑山忠明 1932–2023」
「追悼 フランク・ステラ 1936–2024」
会期:2024年7月6日(土) - 2025年1月26日(日)
会場:201室