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朝子や端島の人々や玲央にとってのダイヤモンド

第8話の副題となった「ダイヤモンド」。それは、朝子(杉咲花)が憧れる「ギヤマン(ガラス製品)」であり、端島の人々が半年間も待ち望んだ着炭(炭脈を掘り当てること)の知らせでもある。
しかし、第8話を見ていて感じたのは、光り輝く物自体よりも、誰かの幸せを祈ったり、何かの知らせを喜んだりといった前向きな感情そのものが、一人一人の人生のなかで輝くダイヤモンドなのではないかということだった。百合子(土屋太鳳)の妊娠を喜ぶ朝子の笑顔、長崎でのお忍びデートで見つめ合う鉄平と朝子の視線のあたたかさ、着炭を喜ぶ鉄平の涙。懸命に生きていれば、人生に訪れる喜びの感情はより輝くのだ。

誰かの幸せを祈ったり、誰かのために努力したり、それを言葉にして伝えるのは少し気恥ずかしい。あんなに愛おしそうに朝子を見つめている鉄平でさえ、日記には書いているにもかかわらず、「朝子と結婚したい」と口にすることはできなかった。自分の中に生まれた感情は、どんなにかけがえのないものであっても、本人には自覚できないこともあるのだ。
70年の時を経て、あの時、鉄平の心にあった誰かのことを思うきらめく感情を、玲央が受け止めた。故郷のために、家族のために、友人のために、愛する人のために命を燃やす端島の人々の眩しさに導かれるように、玲央は「生きてて楽しいんすか?」と先輩ホスト・ミカエル(内藤秀一郎)に問いかける。その後の玲央の不器用な行動を起こした感情は、間違いなく玲央の中に眠っていたダイヤモンドだった。