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岡田利規と中村佳穂、それぞれの立場から語るチェルフィッチュの音楽劇

2024.9.18

東京芸術祭

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役者ができる音響、役者ができる照明

―中村さんはメンバーと無駄に一緒にいる、ということでしたが、岡田さんが演劇をやるうえで今、関心のあることってなんでしょうか?

岡田:音響スタッフっていう役割がありますけど、音をどうやって観客に届けるかってすごく重要な仕事じゃないですか。単に役者の声が聞こえないからマイクを付けて音量を上げるっていう話じゃない。観客に役者の言葉が入ってくるっていうのは、ある種の音響なんだけど、技術的なことではできないところもあるんです。

俳優にしかできない音響というか、その言葉が聞く人の中にすっと入っていくようにするための音響。その作業は音響の技術者もやってくれますけど、役者もやる。というか、役者じゃないとできないことがある。これを成立させるための領域がある程度存在する、というふうに思っているんです。

―変な言い方ですが、俳優にエフェクターがかかっているような状態?

岡田:そう、そうです、役者にエフェクターもイコライザーもかかっています。照明も同じです。役者だけができる照明がある。つまりそれはプレゼンスの濃淡や強弱のコントロールっていうことで、「ここでこの人を目立たせたいからスポットライトを入れる」とかを、照明のスタッフにやらせるのは嫌なんですよ。役者ができたら、その方がいいじゃないですか。

中村:ちょっと話が逸れますが、私、声を録音すると自分の声に聞こえないという違和感がずっとあって。ずっと歌声としゃべり声が乖離していたんですけど、3年前に録音で聴く歌声と自分の声のイメージが一致したんです。演劇だとそれが一致することはあるんですか?

岡田:例えば「今僕が言ったような仕方でセリフを言ってくれ」って役者に指示して、それを理解できる人であれば、一致するのに近いですね。でも演劇は、自分を幽体離脱的に客観視することが必要な場合がある。世阿弥が「離見の見」という言葉で表現しているんですけど、自分自身を観客席から俯瞰して観るみたいなことは、その時代からある。だから、わりとオーソドックスなテーマです。

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