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堂島孝平と曽我部恵一から隅倉へのメッセージ
そして6組目に登場したのは、堂島孝平。“nothin’”と“あの娘のことば”の2曲を披露した。彼は、音源では8分半にも及ぶ“nothin’”を見事に歌い上げたあと、「長いわー、この曲!」とぼやき、隅倉も「なんというか、重いよね」と返し、会場は笑いに包まれる。しかしながら、曲の「長さ」に表れる叙情世界の豊かさ、溢れるものを捉え、描こうとする若さゆえの表現への渇望こそが、初恋の嵐の作品に刻み込まれた、色褪せることのない大きな魅力だ。堂島と隅倉の会話は、ぼやきのようで、とても愛に満ちた言葉たちに聞こえた。堂島は隅倉に向かって「ずっと続けてくれてありがとう」とも告げた。

そして、7組目に登場したのは、曽我部恵一。“真夏の夜の事”と“星空のバラード”を披露した。筆舌に尽くしがたい、本当に素晴らしい歌だった。この日、この場所に集ったすべての人と想いを、この日に至るまでに流れたすべての時間を、抱きしめるような、そんなおおらかで力強い歌声。思えばサニーデイ・サービスやソロなど、私がライブで見る曽我部はほとんどの場合、ギターを抱えて歌っていた。その経験も十分感動的なものとして残っているのだが、この日、ギターを持たずシンガーに特化した曽我部の歌声を聴いて、命が震えるような感動があった。演奏を終え、ステージを去る間際、曽我部は「50代になっても、化粧に夢中な女の子にうっとりする男でいたいね」と隅倉に告げた。最後まで、カッコよかった。

