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いざバンクシー!

いよいよ、本展の⼤部分を占めるバンクシー作品の展⽰エリアへ。作品数はここだけ30点以上あり、「CONSUMERISM(消費主義)」「WAR(戦争)」など、おおよそのテーマごとに分けて展⽰されている。また、ストリートアートとヒップホップとの関係に注⽬したエリアでは、バンクシーの⼿掛けたLPジャケットなども⾒ることができる。

個⼈的に⼤好きな、バーコードのシリーズを発⾒。バーコードの檻を破って、ヒョウが歩いてくる。同様にバーコードとサメを組み合わせた作品も有名だが、いずれも登場するのはヒトを喰う危険⽣物である。そこからは消費システムに潜んでいる悪意や危険に⾃覚的になるべし、というメッセージを読み取ることができるだろう。

バンクシー作品は、通常あり得ないモノ同⼠の組み合わせで発想されているという。ぬいぐるみかのように爆弾を抱きしめる少⼥や、銃を構えながらスマイルマークの顔をして天使の⽻をつけた警官、巨⼤なリボンを結えたヘリコプターなど……強烈な違和感にハッと⽴ち⽌まり、なぜ⾃分はそれをおかしいと感じるのかを⾔葉にしてみる。誰かと⼀緒だった場合、引っかかるポイントが全く異なることもあるだろう。そうして作品に向き合っていくうち、気づけば「幸せって?」「暴⼒って?」と、想像以上に⼤きな問いの前に⽴たされていることに気付く。価格の話とばかり絡めて語られることの多いバンクシーだが、やっぱりそもそもの作品の切れ味が鋭い。
バンクシーは今の⾃分たちと同じ時代を⽣きているアーティストである。だから時代背景や⽂脈がさっぱり分からない、というのはあり得ない。現代社会のことで、バンクシーが知っていて⾃分が知らないこと / 知れないことはほぼ無いといっていいだろう(バンクシーが政治的要⼈だったり国家機密を扱うスパイとかなら話は別)。それでもいくつかの作品からは何を受け取っていいか分からず、悔しい思いをした。⾃分は、そこへの関⼼も知識も弱いのだ。バンクシーからの⼤喜利のような投げかけに、常にビビッドに反応できる⾃分でありたいと思った。