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渋⾕で知るストリートアートの起源と未来 バンクシーやキース・ヘリングは転換点

2025.2.7

#ART

道具で分かる、創造物へのプライド

脚⽴が展⽰台になっているのがまた⼼憎い

続くエリアでは、ストリートアートを描くためのツールやアイテムが使い⽅の具体例とともに紹介されている。アーティストたちの創造へのひたむきさが感じられるので、ぜひ時間をたっぷり取って眺めてみてほしい!

ケースの中には、実際に出展アーティストから借りてきたという、制作跡の⽣々しい筆やローラーなどが。他、スプレー⽸のノズルも多数展⽰されていた。ストリートアーティストにとって、ノズルは必須アイテム。微妙な⾊の広がり具合が作品の仕上がりを左右するため、偏愛メーカーがあったり、⾃⾝で改造を施したりと、職⼈的とも⾔えるこだわりがあるという。ノリで描く落書きとは対極 の、創造物へのプライドを感じる。

「ブラックブック」と呼ばれる、アーティストの下書きやアイデアをまとめた「ネタ帳」が展⽰されているのは⾮常にレア。隣に は、とあるアーティストがこれまでに⾞両に描いた作品の記録アルバムまで展⽰されている。匿名という条件で借り出しているため、アルバムの作者は「不明」とのこと……もちろんそれは、⾞両をキャンバスにした創作が違法⾏為だからである。そりゃそうかとも思いつつ、こうしてその歩みが展覧会になるほど市⺠権を得ているストリートアートが、その気になればあっさり違法⾏為とされてしまうこと、そしてその違法⾏為の証拠写真を貴重な作例としてガラスケース越しに眺めている⾃分の状況に、強烈な捻れを感じてしまう。

ストリートアートといえば、捕まる前に⼿早く描けるステンシルの技法も⽋かせない。東京出⾝のアーティスト・JIKKENRATのステンシル型紙は、そのシルエットと併せて鑑賞できるようになっている。実際に彼のアトリエで、使⽤済みの型紙の塗料を剥がし取ったガムテープが窓に貼られており、光によってステンシルされた像が室内に満ちていた……という不思議な光景を再現するべく、本展の企画者が凝ったポイントなのだそうだ。そのほか、驚くほど繊細にカットされた Nevercrewのステンシル型紙帖なども⾒応え抜群なので注⽬を。

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