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Sorry Youthが紡ぐ「台湾語」 自由な時代になったからこそ、反骨精神を受け継ぎたい

2024.9.30

#MUSIC

台湾のバンドが日本の音楽シーンをにぎわせる昨今。歌詞は音楽を構成する大きな要素で、歌う言語が聴き手の感情に与える影響は大きいが、台湾が実は多言語社会で、さまざまな言語による音楽が発信されていることはあまり知られていない。

今回インタビューしたのは、台湾語で歌う3ピースのオルタナティブロックバンド、Sorry Youth。大学時代にバンドを結成し、台湾の海・山の風景、社会問題など幅広いテーマからインスピレーションを受け、ありのままの感情を発信する姿が、多くの支持を集めてきた。

台湾語は、台湾の標準語である中国語(台湾華語)に続き、2番目に話者が多い言語だ。本編で本人たちに語ってもらうが、台湾語は、第二次世界大戦後、メディアや教育などの表舞台で排除された歴史がある。1987年に戒厳令が解除されて以降、台湾全体が多言語主義に移行したことで、台湾語を積極的に保存し、次の世代に伝える動きが高まっている。しかし、今は台湾語を話せない若者も多いという。

Sorry Youthの核となる音楽性は、ガレージリバイバル・ミーツ・台湾フォークとも言えるが、アルバムリリースを重ねるごとに音像がクリアになり、最新アルバム『Noise Apartment 』(原題:噪音公寓)では様々な音楽ジャンルを融合し、幅広いリスナーに届くサウンドに進化している。

『SUMMER SONIC 2015』『森、道、市場』『BiKN 2023』など大型フェスへの出演をはじめとし、コロナ禍ではthe band apartとのオンライン対バンイベントを行ったり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとの交流の様子をSNSに投稿したりなど、日本との接点も多いSorry Youth。

この度2024年秋の来日ツアーが東京・大阪の4公演で決定した。彼らの重要なアイデンティティである台湾語を通してSorry Youthが表現したいことに今一度触れるために、インタビューを行った。

最新アルバム『Noise Apartment』制作秘話

Sorry Youth(ソーリー・ユース / 拍謝少年)
ギタリストの維尼(ウェニ / Weni)、ベーシストの薑薑(ジャン・ジャン/ Giang Giang)、ドラマーの宗翰(チュンハン / Chung-Han)によって結成されたパワー・トリオ。台湾語の歌詞は彼らのソングライティングの重要なベースであり、拍謝少年の特徴でもある。そして曲のアレンジはライブパフォーマンスの雰囲気を強く捉えている。彼らは台湾のインディーズバンドでは数少ない、全編台湾語で歌詞を作るバンドである。拍謝少年は現在、台湾インディーズシーンの旗手として重要なバンドである。公演はことごとく完売、さらには「SUMMER SONIC」(日本)、「Megaport Festival」(台湾)、「shima fes SETOUCHI」(日本)、「森、道、市場」(日本)、「SXSW」(米国)など、国内外の音楽フェスに頻繁に出演している。また、日本、韓国、カナダ、香港ほか、多くの国々でツアーを行っており、2020年には、台湾における音楽文化とアートの衝突の可能性をさらに追求するため、「山盟海誓」音楽フェスを独自に企画している。
https://www.sorryyouth.com

ー最新アルバム『Noise Apartment』は日本の音楽関係者の間で話題にのぼり、ASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)後藤正文さんも推薦コメントを寄せています。過去作と比べて主にサウンドクリエイティブの面で大きく進化した印象がありますが、制作期間にどんな変化があったのでしょうか?

ウェニ(Gt):『Noise Apartment』の制作を始めたのが2023年1月で、収録曲のデモが半分ほど完成した2023年の秋ごろ、2024年8月に行うワンマンライブの準備をはじめました。台北ミュージックセンターという5000人キャパの会場で、舞台監督や音楽監督に入ってもらう必要があるよ、という話があって。その候補になったのが、音楽プロデューサーのイータン・チョウ(周已敦)さんで。ミーティングで意気投合して、アルバムプロデューサーをお願いすることになったんです。

8月24日に台北ミュージックセンターで行われたワンマンライブの様子  Photo Credit:簡子鑫攝影團隊

ーイータン・チョウさんといえば、台湾のバンド・No Party For Cao Dong(『FUJI ROCK FESTIVAL ’24』のGREEN STAGEに出演)がリリースしたアルバム『The Clod 瓦合』(2023年)を手掛けたことでも知られる、著名なプロデューサーですよね。

チュンハン(Dr):イータンさんはプロデューサーだけでなくミキシングエンジニアもやっていて、ドラムの音の重ね方や音量バランスも含めて細かい相談にも乗ってもらえたんです。その上で『Noise Apartment』にはテイストの違う曲が収録されていますが、アルバムを通して全体のイメージや雰囲気をまとめてくれました。制作中は2週間おきには会っていましたし、イータンさんとの出会いは大きなターニングポイントですね。

ー曲のアイデアを作りこんでいく過程で工夫したことはありますか?

ジャン・ジャン(Ba):「早寝・早起き」になったことでしょうか(笑)。結成当初はまだ大学生で、3人で夜遅くまでスタジオに入って制作していたんですけど、今は僕に子供もいるので、家庭と両立することが必要で。9時から5時までの規則正しいスケジュールの中で、曲作り、練習、ミーティングなどをやっていく必要がありました。

ーバンドマンっぽい生活から、安定したスケジュールの中で、良いものを作っていくライフスタイルに変わった。

ジャン・ジャン:友達からは「搖滾公務員(公務員ロッカー)」と言われるんですけどね(笑)。そんな中、イータン・チョウさんから「なるべく完成形に近い状態のデモを送ってほしい」というリクエストもあったので、今作では全体的にアップテンポにすることや、長いギターソロを入れないことなど、具体的に方向性を話し合いながら詰めていきました。

写真左から:ジャン・ジャン(Ba)、チュンハン(Dr)、ウェニ(Gt)/ Photo Credit:簡子鑫攝影團隊

ー3人の役割分担はどんな感じですか?

チュンハン:曲作りに関しては、3人で考えて作っていくことが多いですね。曲作り以外ではそれぞれ得意・不得意分野があって、レコーディングはウェニ、マーケティングやマーチャンダイズはジャン・ジャン、ライブのパフォーマンスの企画は僕がリードすることが多いです。

ーDIYで活動している部分も多いんですね。

ウェニ:そうですね、コピーライティングも3人でやっていますし、重要な事柄や方向性は自分たちで舵を取りながら、必要な部分は外部の方や仲間にサポートをお願いするスタイルを取ることが多いかも。

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