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一人の人間である藤竹の「諦めたものを取り戻す場所」

ドラマは藤竹の弱さを描いた。弱さを通して、教師であり研究者である前に、一人の人間であることを示した。時に「定時制」であるというだけで「前例がない」と発表の機会を奪われる科学部の状況に憤り、声を荒げ、時に同僚である木内(田中哲司)や佐久間(木村文乃)から特定の生徒に肩入れし過ぎるという「新人教師にありがちな失敗」を懸念されもする。
それが後に「柳田くんを傷つけて、結果的に科学部も壊れ」たという彼にとっての「実験の失敗」として現れ、落ち込んだ末に彼は有給休暇を取って恩師・伊之瀬に会いにいく。そして科学部のメンバーに涙ながらに思いを吐露した結果、本稿の冒頭の通り、岳人に詰め寄られる。その果てに科学部の面々が藤竹を鼓舞し、「ここ(=学校)」は、自分たち生徒だけでなく、教師である「あんた(藤竹)」にとっても「諦めたものを取り戻す場所」ではないかと岳人が投げかけるのである。