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生死を感じて決意した、「好きなことをやって生きていたい」
ーそこからクラブで歌を歌い出すまでにも、人生の選択をするタイミングがいくつもあったと思います。周囲の人たちが就職を選択をするなかで、SIRUPさんにはそういった選択肢はありましたか?
SIRUP:高校生ぐらいまでは、就職しないといけないのかなって漠然と思っていました。本当は音楽の大学に入りたかったけど、学費が高くて行けなくて、家の近所の大学に通ったんです。母子家庭という環境で、母も大学までは行ってほしいとサポートしてくれたので、そこまでは頑張ろうと思って。でも同時に音楽を絶対にやるぞっていう思いも強かった。
就職活動を意識する時期は、一度就職した方がいい歌を書けるんじゃないかって考えたりもしたんですけど、ミュージシャンとして少しずつステップアップしている体感があったのと、そのタイミングで大きな原付自動車事故にあってしまって。そのときに生死を感じて、どうせなら好きなことをやって生きていたいって強く思うようになりました。それで決意が固まって、結局就職活動は一社も受けなかったです。

ーSIRUPさんが就職活動をしないという選択をする頃、周囲には就職を選択する人もいたと思います。そうしたキャリアの進め方を、当時はどのように見ていましたか?
SIRUP:周りの選択と自分の選択の違いを気にはしていました。不安にもなるし、気持ちは持っていかれるけど、結局選択を変えることはしないっていう、根本の性格があるんです。不安になったり、迷ったりはするけど、その感情を無かったことにせず、それすらも吸収してアウトプットに利用していました。不安はあったけど、もうやるしかないって思っていたし、そのほうが僕にとっては絶対楽しいっていうのは分かっていたので。
ー「自分のやりたいことをやる方が絶対楽しい」と思えたのは、誰かロールモデルのような人がいたからなのでしょうか?
SIRUP:小さい頃、お兄ちゃんの後ろをずっとついてまわっていたんですけど、ある時からお兄ちゃんが僕のことを撒きだして(笑)、そこからは公園にいる歳上の人たちに声をかけて遊ぶようになったんです。そうやって小さい頃から一つのコミュニティに属さず、いろんな人の価値観を吸収したり、いろんな選択肢を持っている人生の先輩たちと出会えたことが一番大きいですね。
