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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

SIRUP×Ayumu Imazu対談。世界で活躍する2人が共有する、社会課題の入り口

2024.8.29

Grooving Night

#MUSIC

他イベントにも導入推進したい、視聴覚障害鑑賞サポートとマイノリティの人権推進のための取り組み

―トーク以外でも「誰も取り残さない」取り組みとして、視覚や聴覚に障害のある人への鑑賞サポート(※1)や性的マイノリティとその家族、アライの尊厳と権利を守る活動をするNPO法人「虹色ダイバーシティ」のブース出展(※2)などを通じて社会課題について取り組んでいますが、今回そういったイベントにAyumuくんを呼んだ具体的な意図は?     

※1編注:2024年3月に開催した『Grooving Night #3』開催時、聴覚障害のある人たちには、ステージにリンクさせた字幕や映像が映し出されるメガネ型ディスプレイを導入。また、弱視の人たちを対象に、ステージ上の映像を手元で鑑賞できるタブレットを導入した。

※2編注:SIRUPはかねてより性的マイノリティが受け入れられていない日本の社会に提言をしており、前回開催時は認定NPO法人「虹色ダイバーシティ」が運営する常設LGBTQセンター『プライドセンター大阪』のブース出展があった。

SIRUP:アーティストとして素晴らしいのはもちろんだけれど、いわゆるブラックミュージックをやっているのにその文脈を学ばない人が残念ながら多い中で、Ayumuとは初めて会った時に人種差別の話とかをリアルに話せたんです。『Grooving Night』に関してはそういった話ができる人にオファーしたいと思っていたので、お誘いしました。

―イベントに参加するにあたって、Ayumuくんはどのような想いを抱いていますか?

Ayumu:まず、SIRUPさんと対バンできること自体が嬉しい。それに加えて、社会問題をライブに持ってきて話せる場を作るという、企画自体が素晴らしいなと思いました。僕は普段から社会問題について発言するタイプではないのですが、考えていることもたくさんあるから、少しでも共有できたらと思っています 。

―私は書く側だけど、インターネットで発信したこと、書かれていることがまるでその人の「全て」かのように捉えられてしまう風潮を感じます。社会問題についてインターネットで発言しなきゃいけないとは思わないし、日本人はディスカッションが苦手だと 一般的に言われている中で、このイベントはレクチャーではなく、みんなで一緒に考えることを趣旨にしていますよね 。

Ayumu:それが良いなと思いましたし、自分が思っていることを押し付けるのではなく、話し合える環境を作ることは大切だと感じるので、このイベントはすごいなと。

―SIRUPとは、具体的にどういう話がしたいですか?

Ayumu:ダンスを6歳から続けているんですけれど、日本ではダンサーが守られていないと感じていて。アメリカだとダンサーのユニオンがあって、最低賃金も決められていて、発言できる環境が整っている。でも日本では、「言われた条件でなんでもやります」という人がどんどん出てきてしまうから、問題に対して発言がしづらい環境だと思うんです。それは改善していきたいです。

SIRUP:コレオ(コレオグラフィー / 振付師)に関しても課題感があるんだよね。

Ayumu:はい。コレオには、著作権が発生しないんですよ。だから振付師が1回OKを出せばTikTokなどで多くの人が踊って、自分のものじゃなくなってしまう。この現状も改善したいと思っています。

SIRUP:韓国政府が振り付けの著作権ガイドラインを作る話はどこまで進んだんだろう。

―私も著書『世界と私のAtoZ』(講談社、2022年)の中で、例えば黒人の一般人の子がTikTokで振り付けを作ったのに、著名インフルエンサーであるチャーリー・ダミリオにカバーされて、チャーリーの振り付けみたいになってしまう問題について書きました。

Ayumu:最近、韓国ではコレオがどこから来たのかっていうクレジット表記は大事にされてきている気がします。

SIRUP:クレジットとか音楽的な話は過去3回の開催の時はしていないから、今回はそういった話を知ってもらうのも大事だと思います。

―アーティストがメジャーになればなるほど、自分や業界の問題を話さないことが定着してしまっていると思います。それによってリスナーは綺麗にパッケージ化されたコンテンツとしてアーティストや作品を消費できてしまうし、「アイドルは『辛い』とか言ってほしくない」みたいな傾向も強まっている。一方で、ビリー・アイリッシュやオリヴィア・ロドリゴのようにリアルを教えてくれるアーティストも登場していて。会場に来てくれた限られた人数ではあるけれど、アーティストならではのリアルな苦悩 や音楽業界の問題がお客さんに伝わることは、業界全体の持続可能性に繋がると思います。

SIRUP:本当にそうだね。

Ayumu:ダンスも含め、黙ってやっているだけでは改善されないことを感じます。

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