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話題のドラマ『しあわせは食べて寝て待て』が示す、留まり続けることの可能性

2025.5.27

#MOVIE

©NHK
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旅立つことだけではない「新しい可能性」

移住を決めた反橋りく(北乃きい)と八つ頭仁志(西山潤)©NHK
移住を決めた反橋りく(北乃きい)と八つ頭仁志(西山潤)©NHK

『しあわせは食べて寝て待て』の第5話から第8話を通して描かれたのは、団地から旅立っていく人々を見送り、新しい可能性を探して、副業、移住など何度も奮起するも、持病が悪化し、どうにも上手くいかないさとこの姿だった。第4話までの内容から、団地暮らしや薬膳生活による「古き良き丁寧な暮らし」の素晴らしさを呈示するドラマかと思いきや、それだけではないことに驚かされた。

「やっと出ていける。出ていけたら、絶対帰ってくるもんかって思ってたんですけど。……けど」と思いを残しつつ、進学が決まり、団地を後にする目白弓(中山ひなの)。それぞれに現状の生活に行き詰った末に、さとこに代わって移住を決めた反橋りく(北乃きい)と八つ頭仁志(西山潤)。そして、鈴の娘・透子(池津祥子)に鈴の面倒を見ることを正式に頼まれ、困った末に、ふらりと旅立つことを決めた司。第6話で「ここの人たちは、こうやってただ我慢してきた人たちなんだなって。だったら、もうここに未来はないなって」と言い切る高麗なつき(土居志央梨)の言葉はどこか、団地を出て行く彼女ら彼らの思いを代弁しているかのようで、さとこにとってたくさんの可能性を諦めた先に辿りついたその場所の、もう1つの側面を残酷に示してもいる。

巣立っていく人々を、ただ見送ることしかできないさとこは、時折「世界に置いてきぼり」になったかのような感覚に襲われる。旅立つことは、分かりやすく「新しい可能性」へと向かうことだ。でも、団地に留まり続けることもまた、一つの可能性なのではないかという問いの答えを、彼女と共に探し続けるのが、本作後半の1つの見方だったようにも思える。

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