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ライゾマティクスが表参道にAIを放つ 新作アート展示『recursive』をレポート

2024.9.25

#ART

リアルタイムでAIの学習を観察できる

本展覧会の会期はおよそ3週間。試作の段階でも、3週間ものあいだ学習を続けさせたことはなかったそうで、最終日にどんな作品になっているのか、果たして崩壊せずに作品として成り立っているのか分からない、と開発担当のエンジニアは語る。「初日の段階で、すでに崩壊の兆しが……」との呟きに会場は笑いに包まれたが、引き継いだ真鍋の「みなさん積極的にカメラの前に立ってください、崩壊を防ぐために」の一言はハッと胸をついた。

左から、キュレーターの長谷川裕子(21世紀美術館館長)、画面内にライブカメラの前に立った真鍋大度(ライゾマティクス主宰)、本展主催の牧寛之(anonymous art project代表)

AIはAIだけで進化を続けることはできない。AIの進化のためには現実のデータが必要なのである。AIも可愛いところあるじゃないか、仕方がないな助けてやろう……とライブカメラの前で手を振りながら、ふと思った。AIって人間のためのツールだと思っていたけれど、気がつけば今自分は、AIのための糧になっている。あれ?

AIによる「自動化」から「自律化」へと社会が進んでいく中で、いつかAIの学習用に人間が培養される、なんてSFみたいなことが起こったりして。一瞬感じた主従の転倒に、少しだけゾワっとした。

会場風景 / 学習ステップは開幕初日ですでに14,856になっている

会場内のモニターでは、ライブカメラの映像を取り込んでAIが猛スピードで学習を進めていくステップを見ることができる。左手前の「Training Batch(トレーニングバッチ)」のモニターではライブカメラの直近1時間の映像がランダムに選ばれて並んでおり、はっきり人影もみられる。自分の映像がしっかりと学習ソースとして取り込まれているのを見届けて感無量である。

また、右手のモニターが表しているのは「トレーニングバッチの誤差を可視化したもの」だそうだ。恥ずかしながら専門的な部分を完全に理解できたとは言えないが、学習元のデータとAIが作った画像を比較して、誤差の部分を便宜的に色付けしているらしい。おそらく、習字の時間に先生に添削してもらった赤筆のようなものだろうと理解した。AIが元データと誤差のない画像を生成できたとき、画面は一面のグレーになるとのこと。取材時点で、AIの頑張りはまだまだ必要そうである。

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